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サイ・ヤング賞 ダル、まさかの大差決着…驚かされた投票者たちの“根拠”

[ 2020年11月12日 23:15 ]

カブスのダルビッシュ有(AP)
Photo By AP

 大リーグは11日(日本時間12日)、今季のサイ・ヤング賞を発表し、ナ、ア各リーグで最終候補3人に残っていたカブスのダルビッシュ有投手(34)、ツインズの前田健太投手(32)がともに2位で日本選手初受賞を逃した。ナはレッズで最優秀防御率に輝いたトレバー・バウアー投手(29)が27人の1位票を集め、アは最多勝など主要3部門を独占したインディアンスのシェーン・ビーバー投手(24)が満票でともに初選出された。

 【記者の目】ダルビッシュが1位票獲得でバウアーに3―27と大差をつけられ、日本投手初のサイ・ヤング賞受賞を逃した。

 振り返れば同じく2位に終わった13年のア・リーグのサイヤング賞でもシャーザーが28個の1位票を独占した。その時にシャーザーに大きく引き離された勝ち星(8勝差)、FIP(被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手を評価する指標)で今回はバウアーに大差をつけたのに、それでも1位票で大敗したのは皮肉なものだった。

 13年のダルビッシュ(当時レンジャーズ)は三振奪取数と三振奪取率が1位で、球場などを考慮したERA+(球場の環境など考慮した防御率)でも1位だった。ちなみに3位だった岩隈(当時マリナーズ)はイニング数、防御率、ベースボール・レファレンスのWAR(そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか)で1位だった。当時、この投票結果について取材したが「投票者がシャーザーの21勝3敗、勝率・875の数字に惑わされた。もっとダルビッシュや岩隈に1位票が行ってもおかしくなかった」という声を聞いた。

 さて今回、筆者は30人の投票者のうち20人の意見を聞いたが、バウアーの防御率とWHIP(1イニング当たり何人の走者を出したか)の圧倒的な数字を根拠に上げる人が多かった。だが、一部にバウアーが9月4日のパイレーツ戦で記録した4失点が自責では1になっていることを指摘する人たちもいた。4回に先頭打者が失策で出塁、2死から連打を浴び、暴投も重なり3失点。これを仮に自責として防御率に入れると、短いシーズンゆえ、2・095と数字が跳ね上がり、ダルビッシュよりも防御率は悪化する。

 加えて、もう一つよく聞いたのは、バウアーが中3日で登板した9月23日のブルワーズ戦の好印象が大きかったこと。最近では試合の重要性といった抽象的な要素は、投票では考慮しないという意見も耳にしていたので、9月23日を根拠に上げた人があまりに多いのに驚いた。

 残念ながら日本選手初のサイ・ヤング賞投手誕生とはならなかった。13年も20年もデータで見ると大差はないが、1位票の差は歴然としている。投票は結局はその記者の主観。データそのものは客観的とはいえ、どれを選ぶかに主観が入る。日本選手が世界のプロ投手の最高の栄誉を掴むには、主観に訴える何かが必要なのかもしれない。(MLB担当・奥田秀樹通信員)

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