村上春樹氏“伝説の乱入ライブ”再現「本当に素晴らしかった」 山下洋輔トリオと情熱パフォ

[ 2022年7月13日 05:30 ]

「村上春樹presents山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」に登場した村上春樹(前列左から2番目)と山下洋輔(前列右から2番目)
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 作家の村上春樹氏(73)とジャズピアニストの山下洋輔(80)が12日、東京・早大大隈記念講堂で、学園紛争の嵐が吹き荒れる1969年にバリケードで封鎖された早大キャンパスで演奏された「伝説のライブ」を“再現”させた。

 「村上春樹presents山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」と題し、当時1曲目の「テーマ」、2曲目の「木喰」を曲順通りにするこだわりのセットリスト。山下の肘でピアノを弾くスタイルは健在で、全4曲でダイナミックな迫力あるステージを展開。集まった約1100人の観客は万雷の拍手を送った。山下は「早稲田は特別な場所。50年もこうして語り継がれて、本当にうれしい限り」と満面の笑みだった。

 昨年10月、早大4号館に卒業生の村上氏が寄贈の書籍やレコードが保管された「早稲田大学国際文学館」、通称「村上春樹ライブラリー」が開設。「伝説のライブ」も旧4号館で実施された縁があり、村上氏が「せっかくなら乱入してもらおうじゃないか」と提案。山下も「面白そう」と快諾し、一夜限りの“再乱入”が実現。演奏を聴いた村上氏は「本当に素晴らしかった」と胸を熱くした。

 「伝説のライブ」が行われたのは69年7月。山下のドキュメンタリーを撮るため、ジャーナリストの田原総一朗氏(88)が発案。山下の「ピアノを弾きながら死ねたら」という要望を受け、“黒ヘル”グループ「反戦連合」が大隈講堂のピアノを無断で運び出し、敵対団体「民青」が占拠するキャンパス内で敢行。当時27歳の山下が、テナーサックスの中村誠一(75)、ドラムの森山威男(77)の「山下洋輔トリオ」で“乱入”。乱闘の末に…という計画だったが、対立する学生がその時は演奏を聞き入った。

 イベントにはミュージシャンの坂本美雨(42)らも参加。さまざまな思い話に花を咲かせ、最後は山下のソロ「Memory is a Funny Thing」で終演。情熱的なピアノの音色を響かせた。(小田切 葉月)

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2022年7月13日のニュース