1食1620円!!話題の大阪発高級レトルトカレーって本当においしいの?―食材へのこだわりと心意気

[ 2022年7月13日 12:28 ]

1食1620円の高級レトルト「大阪極(きわみ)カレー」
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 1食1620円(税込み)の大阪発・高級レトルトカレー「大阪極(きわみ)カレー」が話題を呼んでいる。「老舗洋食屋が大阪産(もん)でレトルトカレーのてっぺん、目指します」と掲げる同商品。店で食べるカレーより高い値段設定に驚くが、そこには食材へのこだわりに加え、コロナ禍にあえいだ飲食店の心意気が込められていた。

 2800食限定で販売を始めたのは創業半世紀、著名人も通う大阪の洋食レストラン「ヨコオ」(大阪市福島区)だ。レトルトとは思えぬ高額に戸惑う人も多いが、購入者からは「これほんまにレトルト?」「ホテルで食べるカレーの味」などの声が届いているという。

 代表取締役社長・横尾淳シェフは「コロナ禍で外食が制限される中、レストランの味を家庭に届けたい」との思いで開発に着手。大量生産だと素材が限られるため「限定販売で素材に妥協しない」と決め、地元産の上質食材にこだわった。

 月5頭しか出荷されない希少牛肉で、G20大阪サミットでも提供されたブランド牛「なにわ黒牛」をぜいたくに1食あたり約100g使用。泉州で10代続く射手矢農園の肉厚で柔らかいタマネギ、明治創業の柏原市・カタシモワイナリーのワイン「マスカットベーリーA」を採用した。

 横尾シェフは「原価率(販売価格に対する原価の割合)は一般的なレトルトカレーの4~5倍」と明かす。「ええもんを安く、が大阪の正義」と承知しているが、それでも“ええもんを高く”販売したのには理由がある。「コロナ禍の中で飲食店だけでなく、生産者も打撃を受けた。今後も高品質な“大阪もん”を作り続けていただくためにも値段交渉は極力せず、正統な値付けが大切だと考えた」からだ。

 食べてみると、ごろごろと入った肉はスプーンを入れただけでほどけるやわらかさ。シチューのようなコクとうまみがあるルーに驚かされる。ただ辛さが物足りない…と思ったら、後入れの特製スパイスが付いており調整できる。カレーの域を超えたおいしい洋食、と言いたくなる味に、老舗店のプライドと気概を味わった。

 《日本の“家カレー”浸透は大阪から…》
 店や給食、家庭でも定番、人気メニューの筆頭に挙がる日本の国民食「カレー」。家庭の食卓に浸透させたのは大阪と言われているという。1905年(明38)に大阪のハチ食品が日本初のカレー粉国産化に成功し、1926年(大15)にハウス食品がカレー粉を発売。戦後、江崎グリコが固形ブロックタイプのカレールーを開発、大塚食品が開発した世界初のレトルトカレー「ボンカレー」は人気を博した。

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