壮一帆 「次につなげる」ダーリング夫人役への熱い思い 「ピーター・パン」を届ける意味

[ 2022年7月13日 05:30 ]

ミュージカル「ピーター・パン」でダーリング夫人を演じる壮 一帆(C)ホリプロ
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 1981年の日本初演から42年目を迎えるミュージカル「ピーター・パン」にダーリング夫人役として出演する女優・壮一帆(46)が作品に懸ける思いを語った。

 小さいころからディズニーアニメのVHSビデオを擦り切れるほど観ていたというピーター・パン。憧れを抱いていたその世界に実際参加することになり「一つ夢がかなった感じがしてすごくうれしかった」と話す。また、演出の森新太郎氏とは、コロナ禍で上演中止となった舞台「佐渡島他吉の生涯」から2年越しのタッグも実現。「本当に一度演出を受けてみたいと思っていた方。今回この舞台でそれもかなった」と二重の喜びを口にする。

 壮が演じるダーリング夫人。ピーター・パンと「ネバーランド」へ行くウェンディたちの母という役どころだが、実際にモデルがいる。常に微笑みを絶やさないことから“口元にキスを携えている”と呼ばれた魅力的な女性だ。「何もかもが私と正反対」と笑いつつ、「逆に、役者としては演じ甲斐がある」ときっぱり。「それが少なからず自分の血となり肉となれば」と意気込む。

 元宝塚歌劇団雪組トップスター。宝塚時代から「ベルサイユのばら」など歴史ある数々の名作に出演してきた。今作も米ブロードウェイも含め歴史が紡がれてきたが、伝統的な役柄に重圧やプレッシャーを感じることはないという。念頭にあるのは「次につなげる」ということ。「やり逃げじゃなくて、ちゃんと次につなげられるように。次につなげるためにも、私なりの、誰もまねできないようなダーリング夫人を演じたい」と矜持と責任感をのぞかせた。

 「客席で子供たちがすごい参加してるんですよ。声出して。他の共演者に聞いても、これが楽しいんだよ、ってみんな言うんです」。自身も、上演後にぴょんぴょんと跳ねる子供たちの映像を見て、「ピーター・パンのように飛べる」と信じる気持ちに胸を打たれたといい、純粋に楽しむ子供たちの姿が今から「楽しみでしょうがない」という。

 舞台は「生身の人がやってる、人間がやってるっていう時点でアニメとは違う。人としての呼吸であったりとか、そういうのがより身近に感じられる」という。混とんとした世の中でも「見て何を感じるかが大切」と、この作品を届ける意義を語ってくれた。

 東京公演は東京国際フォーラムホールCで7月23日から8月2日まで。大阪公演は梅田芸術劇場メインホールで8月13、14日開催予定。

 ▽ストーリー ダーリング夫妻(小西遼生・壮)の子供たち、ウェンディ(岡部麟)、ジョン(酒井禅功/津山晄士朗)、マイケル(遠藤希子/君塚瑠華)の部屋に、ピーター・パン(吉柳咲良)が“あるもの”を取りに忍び込んだ。ピーターは子供たちを連れ、いつまでも子供でいられる“ネバーランド”へ飛び立つ。ウェンディはネバーランドで出会った迷子たちの“お母さん”になり、タイガー・リリー(田野優花)率いる森の住人とも仲良くなった。しかし、ウェンディたちは、ロンドンの家に戻ることに。一方、フック船長(小西遼生)率いる海賊たちはウェンディを捕まえてしまう。それを知ったピーターは…。

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