藤井3冠 豊島竜王に連勝、28年ぶり羽生超え10代初「席次1位」あと2 竜王戦第2局

[ 2021年10月24日 05:30 ]

<第34期竜王戦七番勝負第2局>2連勝し、感想戦で対局を振り返る藤井3冠(右)と敗れた豊島竜王
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 藤井聡太3冠(19)=王位、叡王、棋聖=が豊島将之竜王(31)に挑む第34期竜王戦7番勝負第2局は23日、京都市の仁和寺で2日目が指し継がれ、藤井が70手で勝利した。7番勝負を連勝発進し、初の竜王位ヘあと2勝。奪取すれば10代初の席次1位となり、名実ともに棋界の頂点に立つ。第3局は30、31日に福島県いわき市で行われる。

 1日目でリードを奪い、逆転を許さず逃げ切った。しかも豊島相手に70手での終局。藤井が不利な後手番を、盤石の横綱相撲で制した。

 「(自陣から繰り出した)銀が働くかどうかがポイント。うまく王頭から攻め込む形になればと思っていた」

 1日目朝、五段目まで進出し、新構想をぶつけた豊島角を銀で追い払う。自陣への幽閉に成功すると、飛車角銀桂4枚の攻めを王頭へ集中させた。

 8時間の持ち時間は、1日目に豊島が1時間51分長考したため封じ手時点で1時間近い差がついた。序盤から時間を消費し、先に秒読みを迎えたかつての姿はなかった。

 豊島との力関係も飛躍的進歩を見せた。前期王将戦(本社主催)の挑戦者決定リーグで敗れて対戦成績を0勝6敗としたのは昨年10月。今年1月、朝日杯で初勝利を挙げて以降、反撃態勢に入り、この日10勝9敗と初めて逆転した。ロールプレーイングゲームの最終盤に待ち構えるボスキャラ、「ラスボス」豊島との立ち位置を変え、7番勝負の残り5局で2勝すれば全棋士の序列で初めて1位に就く。

 対局で、例えば上座を占める権利を指す席次。タイトルホルダー同士だと全8冠中、名人と竜王が別格。保持者が別々ならその他のタイトル数で決まる。

 現在、名人を保持する渡辺明王将(37)は棋王も併せ持つ。3冠の藤井より竜王1冠の豊島の方が席次は上だが、1位は当然渡辺。ところが藤井が竜王を奪い、4冠となると豊島のみならず渡辺も抜く。

 10代初の席次1位となり、王座、棋王を保持して竜王に返り咲いた1993年の羽生善治九段(51)の22歳3カ月を更新する。当時名人は中原誠16世名人(74)で、タイトルはこの1冠だった。

 「第3局がすぐある。いい状態で臨めるようにしたい」。一つ一つの歩みが棋界の歴史を掘り返してきた。次の金字塔も涼やかにつかみ取るのだろうか。

 ▽席次 現役の全棋士の序列。タイトルホルダー、永世称号有資格者、九段、八段…と四段まで続く。永世称号有資格者とは通算10期保持が条件の永世王将などの実績がある棋士で、原則として引退後、名乗ることができる。

 《勝負飯は「京ゆばうどん」》藤井は午前のおやつに和菓子「紅葉」「栗の子」、アイスコーヒーを注文。昼食休憩では「京ゆばうどん」をオーダー。午後はオレンジジュースとアイスティーをチョイスした。一方豊島は、ファンの間で「定番」と呼ばれているフルーツ盛り合わせを午前中にオーダー。併せてホットティーも運ばれてきた。昼食休憩では「御室御膳」を食した。午後は藤井と同じ和菓子「紅葉」「栗の子」に加え、グレープフルーツジュースを頼んだ。

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