「おかえりモネ」“敬語男子”の魅力 朝岡さんや菅波先生ら 脚本・安達奈緒子氏「相手への敬意と安心感」

[ 2021年10月24日 07:45 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」第106話。島へあいさつに行くと百音に告げる菅波(坂口健太郎)(C)NHK
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)も残り1週間と大詰めを迎えた。朝ドラ脚本初挑戦となった安達奈緒子氏が数々の名台詞を生んできたが、俳優の西島秀俊(50)演じる気象予報士・朝岡や坂口健太郎(30)演じる医師・菅波らによる「です・ます調」の会話も魅力の一つ。“敬語男子”について、安達氏に聞いた。

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達氏が手掛けるオリジナル作品。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描く。

 旗揚げ41年、今や日本最大級の観客動員を誇る「劇団☆新感線」の座付作家・中島かずき氏(62)が9月に興味深いツイート。「おかえりモネ」の好きな点として、朝岡や菅波が親しい人やスタッフにも敬語を使うことを挙げ「その敬語は他人と距離を置く冷たさではなく、相手への敬意が伝わる柔らかい言葉。サヤカさん(夏木マリ)と話す龍己さんもそう。この『敬語男子』たちの心地よさは、今からの男性像の描き方のヒントになるかもなとも思う」と分析。菅波についても、当初は「自分を守るため、他人と距離を置くための防衛としての敬語」だったが、百音や登米の人たちとの出会いを通じ「だんだんその意味が変わっていった。その辺の表現もうまかったと思う」と称賛した。

 第106話(10月11日)になっても、菅波は永浦家へのあいさつに関し「誤解されるのは本意ではないので、一応言うけど、逃げてるわけじゃないですよ」「お願いします。とても僕1人で乗り切れるような案件じゃないので。助けてください」と百音に敬語交じり。“菅モネ”らしい会話が実に心地よく、安心感があった。

 中島氏のツイートについて、書面インタビューで安達氏に聞いてみると「中島かずきさんが言及してくださったこと、とても嬉しいですし、光栄です。中島さんが『距離』と『敬意』と表現してくださっていますが、それがまさに答えだと思います。日本語に敬語があるところがとても好きです。他の言語を詳しく知っているわけではないので正しいかどうかは分かりませんが、こんなにちょっとした会話の中で『相手との距離や関係性』を明確にする言語は少ないのではないかと思います。中島さんがご指摘の通り、敬語は距離を取るための『壁』にもなり得ますし、相手を一人の人間として尊重していることや『好意』をも表現できます。私的な関係へと超越する時には『敬語を外す』ことで、グッと近づくこともできる。こんなに魅力的な言語はないと思います」と回答。

 出会いから約2年半、百音と菅波の気持ちがついに通じ合った第80話(9月3日)。亮(永瀬廉)と距離を置いたことについて未知(蒔田彩珠)から「正しいけど、冷たい」と指摘された百音は落ち込み、言葉が途切れがち。突然、敬語を外した菅波の「どうしたの?」がSNS上で大反響を呼んだが、まさに安達氏の言う「私的な関係へと超越する時」だった。

 「また、朝岡さんや菅波先生や龍己さんのように、男性が敬語で話す姿が美しく見えるのは、相手への敬意がきちんと表れているから、ということもありますが、目の前の人を無闇に傷つけない、という安心感を与えてくれるからでもあると思います。力が強く見える人からの言葉は、男女に限らず何気ない一言でも案外怖いものですから、そういった小さな傷をつけることも絶対にしない、という姿勢が、こちらをとても丁重に扱ってくれていると分かって嬉しくなるのだと思います」と今作の男性たちへの思いを明かした。

 最終週(第24週)「あなたが思う未来へ」(10月25~29日)は、ついに菅波が亀島の永浦家へ。東京・汐見湯以来、約3年3カ月ぶりの再会となる耕治(内野聖陽)や初対面となる亜哉子(鈴木京香)との会話も注目される。

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