球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

中南米市場拡大路線 トランプ大統領でどうなる?

[ 2016年11月13日 05:30 ]

 先週、アリゾナのGM会議最中に大統領選挙の開票が行われた。ドナルド・トランプ氏の勝利に、テレビの開票速報を見ていたGMたちは顔をこわばらせた、とAP通信は伝えた。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「驚くことが続く。カブスの108年ぶりの王者の次がトランプだ」と苦笑した。そして、「どうなるかを見守る。我々の国際化路線の障害にはならないと思うが…」と続けた。

 大リーグは中南米諸国の市場開拓に熱心だ。今年3月にパドレスとアストロズがメキシコシティーでオープン戦を行い、大リーグ機構(MLB)も同市に事務所を開設した。レイズはキューバを訪問し代表チームと試合をした。来年はメキシコ事務所を拡張し、キューバとは選手獲得協定締結を目指す。その矢先に「メキシコとの国境に壁を造る」「米国第一主義」という大統領の登場。怒りをあらわにしたGMがいたともいう。コミッショナーは、各国の指導者同様「様子見」だ。

 球界に新大統領への警戒感が漂う中、MLBは「“インディアンス世界一”の記念グッズは全て破棄する」と発表した。ワールドシリーズ勝利記念グッズは対戦チームそれぞれの物を作っておき、王者(今季はカブス)が決まると同時に発売だ。敗戦イ軍グッズは無駄になる。これらグッズは中南米などの貧しい国々に寄贈し、慈善活動に使ってもらうのが恒例だ。破棄とは、もったいない。「米国の利益第一に」と唱える次期大統領にすり寄ったのか?「誤った商品をどんな形であれ外部に出すのは、球団と球界の利益を損なうため」とMLB。“正しい商品”を高額で売る「大リーグの利益第一」の実践だ。そういえば、MLBのトランプ的発想は以前からだった…。(野次馬)

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