球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

コロナ対策で選手の支持集める「陰のアドバイザー」

[ 2020年5月17日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)は「7月4日の独立記念日あたりを開幕日に」とする日程案を選手会(労組)に示した。82試合、当初は無観客、ナ・リーグもDHを採用…。急造の「イレギュラーシーズン」案だ。

 すぐさま「選手会の合意は難しい」とメディア。4、5月分給与の前払い後、残り年俸はプレーした試合数に応じて支払うとした3月合意が「収益を球団と選手とで折半に」と変わった。トニー・クラーク選手会専務理事は「大減俸の上、サラリーキャップ(年俸総額に枠をはめる)の道を開く。絶対ノー」。これに新型コロナウイルス問題が加わった。MLBは国、州の保健機関が示す、感染防御策を実施して「試合に関わる全ての関係者を守る」と約束する。しかし、選手たちからは「国の感染症対策チームのトップの学者が急ぎすぎと言っている」と不安の声。トランプ大統領のコロナ対策特別チームの中心で、前のめりの大統領を抑え続けるアンソニー・ファウチ博士(79)の影響だ。

 3月末、ナショナルズのライアン・ジマーマン一塁手(35)がファウチ博士を取材したビデオが全米に流れた。そこで博士は、このウイルス感染について分かりやすく話した。「人との距離を保つ、マスク、手洗い」を強調し、ナショナルズが「世界一の祝勝パレード」を中止し群衆を避けた決断を褒めた。全米ネット局の人気番組で、ブラッド・ピット扮するファウチ博士が大統領から解任されるコント劇が国中で話題になったが、選手の間に「ファウチ信者」は多いのだ。

 つい先日もトランプ大統領の封鎖解除宣言に「早すぎる。第2波が起これば悲惨なことになる」と言って怒らせた。大リーガーの「陰のアドバイザー」が解任されなかったのはよかった。(野次馬)

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