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球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

キューバ移籍新制度“トランプの壁”破れるか

[ 2018年12月23日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)と選手会は、キューバ野球連盟と「キューバ選手の移籍手続きで合意した」と発表した。新制度は日本選手に適用されているポスティングシステムの大筋がお手本だ。大リーグ球団は国内選手獲得にかかる金額よりはるかに安く力のあるキューバ選手と契約し、譲渡金もその契約金額の25%程度。優れた選手を安く買う制度だ。

 MLBの“上から目線”はともかく、正式な移籍の道が開通した。これで、キューバ選手の移籍が増えるのか。米メディアにコメントを求められたキューバ大使館は、ツイッターで「この“合意”はしばらくたてば歴史的なものとなるのだろう。確かなのは子供たちにインパクトを与えるはず」と、あまり熱意が感じられない。

 実はMLBが新制度を発表した数時間後、ホワイトハウスが声明を出した。「米国とのビジネスでキューバが利益を得る取引は、制限される」。“移籍制度合意”を伝えたニューヨーク・タイムズ紙は「MLBのキューバとの取引にトランプ政権が抵抗」。ワシントン・ポスト紙も「トランプ政権は合意に警告」。有力2紙の見出しがキューバ大使館の冷めたツイッターにつながる。

 MLBが強調したのは、犯罪組織が絡む亡命援助組織のシャットアウト。キューバ選手の大リーグ入りは、代表チーム選手になり海外遠征した時に脱走し、第三国に居住権を定めてMLB球団と交渉するか、亡命援助組織を頼り、船で国を脱出するかだ。しかし、共に犯罪組織が関係し、大金を払い、大リーガーになった後も金銭を要求される事件も起こった。「新制度はこの危険を防ぐ」とMLB。

 キューバとの国交回復はオバマ政権末期、16年の成果だ。MLBはトランプ大統領誕生を警戒し、新制度の合意を急いだが、間に合わなかった。新制度発効と同時に立ちふさがる“トランプの壁”、突破できるだろうか。(野次馬)

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