亀山つとむ氏 阪神・佐藤輝に今、必要なことは見送る勇気と頭の疲れをリセットすること

[ 2021年7月12日 08:30 ]

セ・リーグ   阪神0-1巨人 ( 2021年7月11日    甲子園 )

<神・巨>8回無死、佐藤輝は空振り三振に倒れる (撮影・後藤 大輝)
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 【亀山つとむ 視点】2つの遊飛と空振り三振。ちょっと佐藤輝の打撃内容が悪すぎる。8回に大江から喫したスイングアウトは明らかな低めボール球のスライダー。これはバットに当ててもホームランどころかヒットゾーンにも運べない。最も打つチャンスがあった1球前のカウント2―1からの真っすぐを見逃しており、打席の中で頭が整理できていないのだろう。

 わかりやすいくらいに徹底された体付近への速い球…からの低め変化球。一度仕留めることができれば攻め方も変わってくるのだが、もっと簡単な方法があるとすれば見送る勇気を持つことだ。強く振れるのは最大の武器で、それを失ってチョコンと当てるような打撃は絶対にしてほしくないが、追い込まれるまではフルスイングができない球を見逃すことができれば、相手バッテリーはイヤなものだ。

 以前は本塁打にしていたボールを今、打てない一番の理由は「疲れ」だと思う。チーム81試合目でペナントレースの半分を過ぎ、1年目の選手には体力面で精いっぱいなのは確か。そして、それ以上にキツイのが「頭の疲れ」だ。2年前に新人だった近本も当時「頭が一番疲れますね」と話していた。

 近大の関西学生リーグは週に2試合、あっても3試合。少しのインターバルがあって頭も気持ちもリセットして次週に向かえるが、プロ野球は翌日には次のカードが始まる。切り替えが追いついていないのだろう。

 だからといって、佐藤輝には休んでほしくない。このツラさから逃げてほしくない。どんな大打者でも1年目には必ずぶつかるプロの壁であり、今のまま試合に出続けて乗り越えてほしい。近本ら先輩に話を聞けばヒントがあるかもしれない。

 新人だからと大目に見てもらえても、チャンスで打てないと責任は強く感じるもの。自分のせいで試合に負けたら落ち込んで当然。幸いにもあと3試合で3週間のブレークがある。体の疲れと頭の疲れ、そして心の疲れも取り除いてほしい。

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