阪神・西勇 8回以外は完ぺき1失点、今季初の9回完投も援護なし6敗目 通算100勝またもお預け

[ 2021年7月12日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0-1巨人 ( 2021年7月11日    甲子園 )

<神・巨>5回1死、亀井の打球をつかみ取る阪神・西勇(撮影・大森 寛明)
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 緊張の糸が途切れたのか…。阪神・西勇が積み重ねてきた「ゼロ行進」は、ゴール目前でストップをかけられた。

 0―0で迎えた8回だ。先頭・亀井に右翼フェンス直撃の二塁打を浴びると、続く北村に犠打を決められ、1死三塁。2ストライクから大城に対して投じた渾身(こんしん)の102球目だった。外角低めへのスライダーを、ちょこんと当てられた。打球が前進守備の三遊間を抜けた瞬間、上体をのけ反るようにして顔をしかめた。勝負を分けたターニングポイント。息をのんで見つめていた甲子園の虎党の願いもむなしく、球場内はため息に包まれた。

 それでも気持ちを切らさない。これぞエースの姿だった。後続を抑えて最少失点で切り抜けると、続く9回もマウンドへ。上位打線を3者凡退に退け、最後まで打線の反撃を信じ、そして待った。今季初の9回完投。4安打1失点の粘投も報われず6敗目を喫した。孤軍奮闘した右腕に、矢野監督もねぎらいの言葉と賛辞を贈った。

 「今年一番よかったんじゃないかな。そういうボールを投げて、結果もそれに伴ってリズムをつくってくれた。いかんせん、ゼロじゃ勝てないんで…」

 終盤に痛恨の1点を奪われ、負け投手。とはいえ、8回以外は巨人打線を寄せ付けなかった。前回2日の広島戦では4回7失点と精彩を欠いたが、中8日で臨んだこの日は3試合ぶりに従来のワインドアップ投法に戻して修正につなげた。

 9連戦の中で救援陣の負担を軽減するという、先発の役割も果たした。福原投手コーチも「テンポが良かったし、コントロールも全体的に低めに意識されて丁寧に投げていた。9回も諦めずに最後も3人で抑えたし、次につながるいいピッチングだった」と称えた。

 6月18日の巨人戦で通算100勝に王手をかけてから3試合の足踏み。球宴、五輪ブレークを有効活用し、本来の姿を取り戻す。(長谷川 凡記)

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