「大谷翔平が優勝」と断言する3つの理由 米スポーツキャスターが語る 13日午前9時伝説また一つ

[ 2021年7月12日 21:30 ]

大谷翔平(AP)
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 歴史的アーチ合戦を見逃すな!大リーグのオールスター戦前日恒例の本塁打競争が12日(日本時間13日午前9時)にデンバーで行われ、エンゼルスの大谷翔平投手(27)が日本選手として初出場する。両リーグ断トツ33本塁打で第1シードとして臨む標高1600メートルの「高地決戦」。地元テレビ局「デンバー7」のスポーツキャスター、トロイ・レンク氏(51)は優勝を大谷と予想し、その理由を本紙に語った。

 (1)余力残せる初戦
 初戦の相手がソトというのは、大谷にとってプラスだ。ソトは好打者だが、自己最多本塁打は19年の34本で、パワー自慢の打者ではない。大谷が100%の力を出しきらなくても倒せるとみている。第1シードで決勝まで後攻というのも有利。先攻の本数を抜いた時点で終了となるので、力をセーブできる。

 準決勝は前回19年の優勝者アロンソが出てくるだろう。彼は強敵だ。「北極熊(Polar Bear)」のニックネームを持ち、パワーも並外れている。右打ちで、クアーズ・フィールドは左翼なら場外もあり得る。アロンソが場外弾を連発すれば、「大谷祭り」の雰囲気を変えてしまうかもしれない。ここは接戦になると思うが、私は打ち損じでも本塁打にできる大谷が勝つとみている。

 (2)絶好の気象条件と「飛ぶボール」
 当日は打球が飛ぶ条件がそろっている。開始前に少し雨が降るかもしれないが、予想気温は30度くらい。この日は34度だったが、これだと暑すぎて体力を消耗する。30度前後が一番打球が飛びやすく、25~26度まで下がると飛距離も落ちる。

 そして、知る人ぞ知るように、本塁打競争に使われるボールは公式戦とは違う。硬くてゴルフボールのよう。デンバーの公式戦では飛距離を抑えるために「給湿器」でボールを保管するが、今回は使わない。出場8選手のデータを見ると、大谷の本塁打の平均飛距離417フィート(約127・1メートル)は2番目で、高地デンバーを本拠とするトップのストーリーの419フィート(約127・7メートル)とほぼ互角。さらに「中堅から逆方向への本塁打」は17本でトップ。広角に打てるのが強みで、打球が飛ぶ好条件なら左翼へこすったような打球でも入る可能性がある。

 (3)体力+確率
 決勝戦はギャロが出てくると思う。私は地元のストーリーに勝ち残ってもらいたい。球場の特徴も熟知しているが、過去にホーム球場で勝った選手は3人だけ。それだけ重圧がかかる。ギャロはメジャー屈指のパワーヒッター。デンバーでは大谷かギャロのどちらかが、「ルーフトップ」(右翼3階席の立ち見エリア)を直撃するだろうと盛り上がっている。大谷は18年の打撃練習でその近くまで飛ばしている。物理的にはかなり高く打ち上げる「ムーンショット」でないと届かないが、大谷は今季、飛び出し角度38度という高弾道の一発も放っている。

 3ラウンド目となり、体力勝負の決勝戦は確率も重要となる。本塁打になりやすい打球速度と打球角度を組み合わせた「バレルゾーン」に入る確率「バレル率」は大谷が今季両リーグトップの15・5%で、ギャロの9・4%を圧倒している。大谷が注意しないといけないのは、ペース配分。500フィート超え(約152・4メートル)のアーチが飛び出せば、スタンドは熱狂するだろう。しかし、余計な力が入りすぎると、疲れてしまう。打撃練習のつもりで、普段のスイングができるか。私は自分が出演する番組でも大谷が勝つと予想した。(「デンバー7」スポーツキャスター) 


 ◇トロイ・レンク コロラド州デンバー出身。コロラド大でジャーナリズムを学んだ後、野球記者に。94~96年のアリゾナ州ユマの地方紙時代はヤクルトのユマキャンプも取材。その後、デンバー・ポスト紙でロッキーズ担当を長年務める。16年からテレビ局に移り、現在は「デンバー7」でスポーツニュースのキャスターを務める。

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