奥川18K!世界がビビった7回1失点 中2日で決勝へ「しっかり仕事をしたい」

[ 2019年9月6日 05:30 ]

第29回WBSC U18W杯 スーパーラウンド第1戦   日本5―1カナダ ( 2019年9月5日    韓国・機張 ドリームボールパーク )

<日本・カナダ>7回1失点18奪三振で勝利した奥川(撮影・島崎忠彦)
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 今夏の興奮をよみがえらせた。スーパーラウンドが開幕し、高校日本代表は初戦のカナダ相手に奥川恭伸投手(星稜=3年)が今大会初登板初先発。夏の甲子園決勝以来のマウンドで7回103球を投げて2安打1失点、U18W杯では日本選手最多の18奪三振と、強力打線を牛耳った。圧巻の投球で逆転勝利の立役者に。悲願の初優勝へチームを勢いづけた。

 日の丸の重圧を乗り越え、世界を驚かせる芸術だった。

 初回先頭のマクドウェルを151キロ直球で空振り三振に仕留め、奥川の奪三振ショーが開幕した。2回まで全アウトが三振。最速152キロで、スライダーの切れも抜群だった。「2ストライクからは狙いに行っている」。7回2安打1失点で全打者から計18奪三振。2012年から行われているU18W杯では、日本選手最多の奪三振と歴史に名も残した。

 蓄積疲労のため、1次ラウンドの登板を回避。8月22日の夏の甲子園決勝戦以来、14日ぶりの実戦登板に「凄く責任を感じていた。日の丸の重みを感じていた」。立ち上がりは「スライダーは(腕の振りを)緩めて投げていた。置きにいっていた」と宝刀の感覚がフィットせず、本来は鋭く横に滑るものが、この日は縦に変化した。普段と違う状況を受け入れ、18三振中14個をスライダーで奪った。それでも「あの(4回の)ホームランが悔やまれる。目いっぱい、腕を振ってコントロールできないと、この先はしんどい」と1球の重みを痛感した。

 グラウンド外でも動じなかった。韓国入りした8月28日、宿舎の部屋のカードキーが機能せず、同室の西と右往左往。交換後も開かずに隣室の他国スタッフからは奇異の視線を浴びた。「ドリルを持ったおじさんが来て、何とかなりました」。食事が合わず、夕食はピザとポテトをメインにしのいだ結果、体重は渡韓後に2キロ減。それでも今月2日にはインスタントラーメンで日本の味を思い出し、理学療法士が入手したふりかけで「ご飯が食べられるようになった」と笑顔も戻った。

 105球以上を投げれば大会規定上、中4日の登板間隔が必須。今大会の登板が不可能となる。6回終了時で90球。7回の登板前に永田裕治監督から「104球で収めてこい」と指令を受け、7回2死から3球三振を奪って103球で終わらせた。中2日で決勝戦に登板する態勢は万全。「ここまで、みんながつないでくれた。しっかり仕事をしたい」。奥川には頂点への、最後の一段を上る使命が残されている。 (桜井 克也)

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