【内田雅也の追球】不格好でピカピカ――結果がすべての終盤戦に臨む阪神

[ 2019年9月6日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神9―2DeNA ( 2019年9月5日    横浜 )

「一生残る、一瞬のために。」と染め抜かれたのぼりが立つ横浜スタジアム前
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 今はもう結果だ。残り20試合を切り、クライマックスシリーズ(CS)進出へ、とにかく結果がほしい。格好はどうあれ、勝てばいいのだ。

 相手のDeNAも必死だ。優勝がかかる。8月末、選手が考えた言葉「一生残る、一瞬のために。」のTシャツを全員に配った。横浜スタジアム周辺では、秋風にのぼりが揺れていた。

 オーナー南場智子が親会社ディー・エヌ・エー創業時から七転八倒の日々をつづった『不格好経営』(日本経済新聞出版社)を読んだ。ある球界関係者に勧められていた。

 終章「これから」で、事業家集団として結果を求める姿勢を決意表明していた。

 <なぜ、なぜ、と議論するのは他者に任せ、ピカピカの成功事例を自らの手でつくることに邁進(まいしん)する>。

 これは、野球にも通じる。なぜ、打てたのか? なぜ、打たれたのか? なぜ、勝てたのか? なぜ、負けたのか? 良くも悪くも、多くの「なぜ?」を追って、記者も評論家もその試合に迫ろうとする。

 ただし、答えにはたどり着けない。日本ハム監督・栗山英樹は長年、本紙やテレビで取材者だった。監督1年目を終えた2012年10月に出した著書『覚悟』(KKベストセラーズ)に<そう簡単に答えは見つからない>とあった。<そもそも、そこに答えはないのだ。なぜなら、みんな答えを求めて戦っているわけではなく「結果」を求めて戦っているから>。

 ならば、この夜の阪神は結果がついてきた。3回表の大量6点には1死満塁から投手・青柳晃洋が懸命に上げた中犠飛と、同時に二、三塁も奪った走塁があった。

 7回表の追加点は5試合ぶりスタメンの大山悠輔の詰まった右前適時打だった。8回表無死二塁では追い込まれた中谷将大が二ゴロで走者を進め、ジェフリー・マルテが反対側を狙って犠飛を上げ、進塁打を生かした。

 これらは不格好でもピカピカに輝いていた。

 南場は著書で起業した理由、赤字続きでもあきらめなかった理由、てっぺんに挑戦する理由を<熱病>だとしていた。

 「野球はマラリア(熱病の一種)に似ている。どちらもぶり返すのだ」と大リーグ・エクスポズなどで監督通算1902勝のジーン・モークが語っている。優勝目前で敗れ「悲運の名将」と呼ばれたが、傷心から幾度も立ち直った。

 もう、いくらも試合はない。熱病にうなされながら、やり抜こうではないか。=敬称略=(編集委員)

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