“隠れ首位打者”アジャ 落合ほうふつ「神主打法」で初V打

[ 2014年3月22日 06:26 ]

<西・ロ>初回2死一塁、角中の中越え打で一気に三塁へ進塁する一走・井上

オープン戦 ロッテ6―2西武

(3月21日 西武D)
 迷いのないフルスイングだった。初回2死二塁。初球だ。4番に座ったロッテのドラフト5位・井上は、岸のカーブを中前にはじき返した。初対戦である相手エースの得意球をいきなり攻略。岸を「まさか初球からあれを打ってくるとは」と驚かせた一撃は、プロ初の決勝打となった。

 「カーブは狙っていないけど、初球から振って、(タイミングを)合わせるのが僕のスタイル。じっくり見るのは得意じゃないので」。7回にも1ボールから武隈の直球を左前打。四球は39打席で一度もない。ファーストストライクを狙う積極打法を支えているのが、柔らかい打撃フォームだ。左足を軽く開いたオープンスタンス。バットは体の正面からやや本塁寄りにゆったり構える「神主打法」である。リストの柔らかさも持ち合わせ、広角に打ち分ける。16安打中11本が中堅から右方向。打撃フォームも内容もロッテのかつての4番・落合博満(現中日GM)をほうふつさせる。

 日本生命時代、尊敬する落合の打撃映像をビデオで何度も見て、自らの打撃に取り入れたという。「右方向に飛んでいるのは自分の調子を知る上で味方になる。ヘッドが返っていないということになるので」。1メートル80、111キロの巨漢。女子プロレスラーのアジャ・コングに似ていることから「アジャ井上」の愛称で呼ばれるが、話題先行ではない打撃技術がある。

 4打数2安打で打率・421。規定打席には1足りないだけの「隠れ首位打者」だ。残り2試合で8打席立てば規定打席に到達する。65年のドラフト制以降では史上初となる新人のオープン戦首位打者の可能性は十分にある。その先に、球団では64年ぶりとなる新人の開幕4番も見えてきた。

 本来の4番・今江は左ふくらはぎ筋膜炎で2軍調整しており、開幕に間に合うかは微妙な状況。右投手の岸相手に井上を4番で先発起用した伊東監督は「右投手に対しても技術を持っている。今のところ、ずっと4番を打たせようかと思います」と今後の起用方針を示した。「4番は意識しない。あと1週間で仕上げるというより、アピールすること」。井上はそう言って、少しだけルーキーらしさをのぞかせた。

 ≪50年戸倉は1発3打点≫井上(ロ)が開幕戦に先発出場すると、チームの新人野手では10年荻野貴(2番・中堅)以来4年ぶり。4番なら球団創設1年目(当時毎日)の50年に戸倉勝城(右翼)が座って以来64年ぶり2人目。なお、戸倉は開幕の西鉄戦でパ・リーグ1号となるプロ初打席アーチを含む2安打3打点。開幕白星発進(○9―0)に貢献した。

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