中山 16歳で銅メダル獲得「うれしいけど、あんまり実感が湧いていない」

[ 2021年7月27日 05:30 ]

東京五輪第4日 スケートボード女子ストリート ( 2021年7月26日    有明アーバンスポーツパーク )

最終トリックに臨む中山(撮影・会津 智海)
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 「覚えてもらえたらいいな」と小学校低学年から伸ばした腰までの長い黒髪が、トリックに挑むたびに宙を舞った。主要国際大会での表彰台の経験はなかった16歳の中山が、大一番で銅メダルを獲得。「観客がいなかったからいつもの大会より緊張せずに滑ることができました。うれしいけど、あんまり実感が湧いていない」と笑みを浮かべた。

 予選を絶好調で1位通過し、最終滑走となった。上位につけていたオランダ選手が失敗して西矢との表彰台が確定すると、手を取り合って喜ぶ。得点次第でトップの西矢を上回る場面だった最終5回目は失敗し「決めるぞと思ったけど椛にまた勝てなかった」と残念がったが、すぐに西矢の元に駆け寄って祝福した。

 小学3年でスケートボードを始め、父・洋志さん(44)と二人三脚で歩んできた。地元の富山市から東京のパークで練習するために、週末は夜行バスに乗って遠征。国内大会で上位に入るようになると一人で移動し、早朝に到着すると漫画喫茶で勉強するなど時間も無駄にしなかった。「凄く真面目でいつも黙々と練習している」と明かす洋志さんは、愛娘の活躍に「緊張して泣きながら滑っていることもあるが、楽しそうでうれしかった」と喜んだ。

 中山の宝物はスケートボードを始めて最初の誕生日に買ってもらった自分用のボード。「ボロボロになるまで使った」というデッキは、今も部屋に大切に保管されている。1カ月に1回はデッキの交換が必要になるまで練習し、手に入れたメダルは格別だった。3年後のパリも「出られるなら出てみたい」と語ったホープ。控えめな言葉に、強い意志が込められた。

 ◇中山 楓奈(なかやま・ふうな)2005年(平17)6月17日生まれ、富山市出身の16歳。父の影響で小学3年からスケートボードを始める。山田中―龍谷富山高。19年の日本選手権で初優勝。6月の世界選手権は6位。手すりに前部車輪の金具を斜めに掛けて滑り降りる「フロントサイドKグラインド」を得意とする。好きな選手はジェイミー・フォイ(米国)。1メートル57、50キロ。

 《銀レアウも13歳》銀メダルを獲得したライッサ・レアウ(ブラジル)も13歳。小さな体で鮮やかな技を繰り出し、日本勢の間に割って入った。2位で迎えた最終トリックで失敗して涙を流すと、年上の選手たちから慰められた。スケートボードは女子には向かないと言われたことを記者から聞かれると、「スケートボードはみんなのものと思う」とジェンダー平等を訴えた。
 

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