体操ニッポン連覇夢散 猛追0・103差で銀、誓った内村への恩返し“黄金の継承ならず”

[ 2021年7月27日 05:30 ]

東京五輪第4日 体操男子団体総合 ( 2021年7月26日    有明体操競技場 )

体操男子団体総合決勝 最終種目の鉄棒で着地を決めた橋本と喜ぶ日本チーム
Photo By 共同

 体操ニッポンが僅差で連覇を逃した。男子団体総合決勝が行われ、萱和磨(24=セントラルスポーツ)、谷川航(25=同)、橋本大輝(19=順大)、北園丈琉(18=徳洲会)の日本は合計262・397点で銀メダルとなり、16年リオデジャネイロ五輪に続く金メダルには届かず。わずか0・103点上回ったROCが262・500点で制し、中国が261・894点で銅メダルだった。

 死力を尽くしても、世界の頂にわずかに届かなかった。4種目終了時点で首位のROCに3・472点差をつけられたが、ここから猛追。橋本が最終種目の鉄棒で高得点を叩き出し、ROCの最終演技者・ナゴルニーの得点を待った。計18演技つないだ結果、差は0・103点。体操ニッポン99個目のメダルは銀。4人は健闘を称え合って笑い、そして悔し涙を流した。

 萱「内容は金だけど結果は銀。この現実を受け入れないといけない」

 谷川「これが今の最強メンバー。この4人で試合ができて良かった」

 橋本「メダルの色以上に、自分のベストを出せたのは大きな経験になった」

 北園「全員諦めなかったけど、五輪の金はそんなに甘くないんだなと思った」

 6月14日、代表メンバーがそろった合宿がスタート。拠点の体操場には「BEYOND 1964」と書かれた横断幕が掲示された。ミーティングで、日本男子の水鳥寿思監督が伝えたのは64年東京大会の団体総合など金5個、銀4個という偉大な歴史。24日の予選を1位で通過して自信を深めていたが、新伝説は刻めなかった。

 キングのためにも勝ちたかった。長きにわたって日本の大黒柱として活躍した内村は、予選の鉄棒で落下し3大会連続の金メダルに届かず。初出場でも予選で次々好演技を積み上げていく後輩を見て、内村は言った。「僕はもう主役じゃない。彼らが主役」と。

 百戦錬磨のキャリアを生かした助言を送るなど、チームを献身的にサポートしてくれた内村に、見せたいものはただ一つ。「恩返しのためにも、絶対に団体優勝したい」という北園の言葉が、チームの総意だった。内村は既に選手村を離れ、会場ではなくテレビで観戦。黄金のバトンを継承できなかったことが悔しかった。

 2大会連続、8度目の団体金メダルには届かなかったが、メンバーの平均年齢は21・5歳。最年少18歳の北園は言う。「0・1の重さを知ることができた。パリ五輪では絶対に金を獲る」。体操ニッポンを背負った若武者たちは、世界一だけを見据えて鍛錬を重ねる。

続きを表示

この記事のフォト

2021年7月27日のニュース