ロバート・キャンベル氏 首相秘書官の差別発言「性的少数者の実態調査をしてないことが発言の1つの背景」

[ 2023年2月6日 09:03 ]

ロバート・キャンベル氏
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 日本文学研究者で東大名誉教授のロバート・キャンベル氏が6日、日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜前8・00)に出演。岸田文雄首相の秘書官・荒井勝喜氏による差別発言について言及した。

 荒井氏は3日夜、LGBTなど性的少数者や同性婚の在り方などを巡り「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と記者団にコメント。荒井氏は経済産業省出身。首相の同性婚に関する国会答弁を巡り、オフレコを前提にした記者団の非公式取材に官邸で応じた際の発言だった。同日夜、同氏は「誤解を与えるような表現で大変申し訳ない。撤回する」と述べた。首相は4日、「言語道断の発言」とし、荒井氏の辞意を受けての更迭を決めた。

 2018年に自身のブログで同性のパートナーの存在を公表し、社会の中でのLGBTに対する扱いなどについてSNSで発信しているキャンベル氏は、「当事者の中には、自分はきちんと生活している、ゴミ出しもしているし子供を健康に育てようとしているのに、なんでこんなことを言われなきゃならないのか。なんで自分は善良な市民だということをいつも言わなきゃいけないのかと、疲れている。こういう言い方はとても怖いという声がかなりあった」と周囲の声を紹介。

 そのうえで、「私は東京都内の一軒家で同性カップルで同居しているわけですけど、20年の国政調査で実態を回答しました。そうしますとどうなるかって言うと、ほかの親族というカテゴリーに振り分けされてしまったわけですね。(ほかの親族というのは)おじとか姪とかっていうことですね」と明かし、「それについて、当時の総務大臣は“我が国にはそういう法的な根拠がないから集計できない”という回答だったわけですね」と話した。

 そして、「私が言いたいことは、総理が先日、同性婚(合法化)に消極的であるという大きな根拠が“社会が変わってしまうかも知れない。雰囲気を見ないといけない”ということをおっしゃったわけですけれども、政策は雰囲気でつくれないものです」と指摘。「エビデンス、データがないといけないわけで、まずは国政調査の中でさまざまな性的少数者が実際にどういうふうに暮らしているのか、どれくらいいるのかということを(調査すべきだと)、それをずっと私を含めたいろいろな人は言っている」とし、「(LGBTなど性的少数者が)存在しないことに政府は実際にしているわけです。これはG7の国の中では唯一、日本が実態調査を行っていない。このことが荒井氏の発言の1つの背景、それがまかり通る一つの大きな背景だと思います」と自身の考えを述べた。

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2023年2月6日のニュース