藤井王将“変幻自在”先勝 巧妙秘術駆使して翻弄 先手番で24連勝 棋王戦第1局

[ 2023年2月6日 04:45 ]

棋王戦第1局で先勝し、対局を振り返る藤井聡太王将(代表撮影)
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 将棋の第48期棋王戦5番勝負は5日、長野市の長野ホテル犀北館で第1局を行い、先手の挑戦者・藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が10連覇中の渡辺明棋王(38)に125手で先勝した。年度内の最年少6冠に一歩前進した藤井の次局は、第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第4局(9、10日=東京都立川市)。棋王戦の第2局は18日に金沢市で予定されている。

 どこからこの構想が生まれるのだろう。藤井王将が変幻自在の指し回しで、11連覇を狙う渡辺棋王を翻弄(ほんろう)した。
 「盤面全体で戦いが起こり、どういう方針で指せばいいのか、一局を通して難しかったです」

 振り駒で先手番となり、前例が大量に存在する角換わり腰掛け銀を選択。昼食休憩まで74手とさくさく進む展開は、午後に入って急激にスローダウンした。未知の局面に入ると一手一手が極度に重くなる。

 そんな一進一退の場面から藤井が徐々にリードを奪い始めたのが、2筋に歩を垂らした85手目。「同金とされると微妙で難しいと思った」と振り返るものの、渡辺は攻め合いを選んで手を抜く。以降は自王を守っていた左金をいきなり前線に繰り出して渡辺の馬切りを強制し、その角をすぐさま攻撃に投入して、じわじわと相手王を追い込んでいった。「最後の方も入王されるような形。よく分からないまま指していました」と明かすものの、実は相手の渡辺も「勝負どころがどこだったのか分からない」と顧みるほど、巧妙な秘術を駆使したことになる。

 この日放送されたNHK杯準々決勝の勝利を含め、これで先手番24連勝(未放映対局は除く)となった。同時進行中の王将戦でも先手番を確実にものにして挑戦者・羽生善治九段(52)に2勝1敗と先行している。

 「しっかり準備できればと思います」という棋王戦第2局の前には王将戦第4局が迫っている。ダブルタイトル戦の激闘が本格化した。

 ≪NHK杯初4強≫藤井はNHK杯準々決勝でも中川大輔八段(54)を破り自身初のベスト4進出を決めた。先手で得意の角換わりから、中川の金銀スクラムの守りを馬角桂のコンビネーション攻撃で鮮やかに攻略。これまで17年度の16強が最高位だった苦手棋戦の初制覇にあと2勝と迫った。本年度は参加できる4つの一般棋戦のうち銀河戦、日本シリーズプロ公式戦(JT杯)をすでに制覇。NHK杯とともに朝日杯オープン戦も4強入りを決めており、こちらの“グランドスラム”にもまた一歩近づいた。

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