「舞いあがれ!」鬼教官・大河内 NHK制作統括「吉川晃司さんのキャラクター造形」

[ 2022年11月28日 08:17 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、航空学校の教官・大河内を演じる吉川晃司(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】28日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第41回で、ヒロインの舞(福原遥)が航空学校・帯広校の教官の大河内(吉川晃司)と初対面した。

 吉川は朝ドラ初出演。制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは「大河内のキャラクター設定を考えた時、真っ先に吉川さんが浮かび、演じられる人は他にいないと考え、思い切ってオファーした」と話す。

 大河内はかつて航空自衛隊の戦闘機パイロットとして活躍した人物。航空学校では、教官として、パイロットの適正がない学生を容赦なく退学させるとうわさされている。

 熊野氏は「パイロットは多くの乗客の命を預かって飛ぶという責任の重い仕事。舞は人力飛行機で飛ぶ経験はしているが、乗客を乗せて飛ぶことの重大さはまだ実感できていない。大河内は、その重みを痛感させる厳しさを持っている人、空を飛ぶことへの強い思いを持っている人」と説明する。

 出演依頼を受けた吉川は当初「私はただいるだけで威圧感が出てしまう。日常的な感じにならないが大丈夫?」と指摘。NHK制作側の「大河内には、登場した瞬間、乗客の命を預かる重みが一発で伝わる力強さが必要という点で、吉川さんは唯一無二だと思っている」との説明を受けて受諾したという。

 大河内は学生の間で「鬼教官」と恐れられている。ところが、舞らを指導する際には、厳しさを感じさせつつも、常に冷静で、声を荒らげることもない。

 熊野氏は「吉川さんが考えたキャラクター造形」と明かす。

 制作を前にNHK側と吉川は役柄に関して相談。吉川は「大河内は言っていることはかなり厳しいが、怒鳴ったり高圧的になったりしない方がいいのでは?本当の厳しさはある種、静かなところにある。立ち振る舞いは丁寧だが、そこに重いものがあるという方がいいと思う」と話したという。

 熊野氏は「実際には描かれないが、大河内は裏設定として、飛行機に乗る前に精神統一のために座禅を組むなどのルーティンがあるような感じ。だから、学生たちに対しても厳しく、パイロットは誰にでもなれる職業ではないという前提でこれから舞たちを指導していく。吉川さんは静かなたたずまいでそれを表現し、大河内というキャラクターをとても魅力的にしてくれている」と語る。

 果たして舞は大河内という高い壁を越えてパイロットの道を進めるのか?演じる福原と吉川が役者として相対するシーンの数々が今後の見どころとなる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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