崔洋一監督 10月クランクインを目指し…“老年の恋物語”新作準備も

[ 2022年11月28日 05:04 ]

映画監督の崔洋一さん死去 73歳

03年、「ブルーリボン賞」で監督賞を受賞した崔洋一監督
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 崔監督には10月クランクインを目指して準備していた新作があった。関係者によれば、黒井千次氏の「高く手を振る日」を基にした老年の恋物語で、キャスティング作業も進んでいた。

 50年以上の付き合いがある荒井晴彦氏が脚本を担当。4月にテアトル新宿で行われた7日間連続のトークショーの打ち上げで「一緒にやろう」と決まったもので、10月の撮影開始を目指した。ところが、10、11月と崔監督の体調が思わしくなく、来年春の撮影開始に仕切り直しされたという。関係者は「残念です」と悔しさをにじませた。

 ▼滝田洋二郎監督 実は僕の「コミック雑誌なんかいらない!」は、崔さんの「十階のモスキート」がテレビ局に売れたお金で製作されたんです。撮影初日に陣中見舞いに来てくれました。2作ともロック歌手の内田裕也さんが関わっていたので、大みそか恒例の年越しライブは2人で仕切っていました。自らの出自と大島渚監督との運命的な出会いが、崔さんに映画監督として生きていく覚悟を決めさせたと思います。5月の日本映画監督協会の総会でお会いしたのが最後になりました。2次会まで参加し、酒も飲んでいました。長く理事長を務めましたが、発信力のある人でした。悲しくて残念です。

 ▼小山明子(女優で、故大島渚監督の妻)初めて会ったのは、大島の映画「愛のコリーダ」撮影時で、崔さんは助監督でした。先輩から荒っぽく扱われていましたけど、けなげに頑張っていました。大島も「彼は勉強家だ」と認めていて、自分の下で働くより、早く独り立ちする方がいいと言っていました。大島が倒れた後もよく訪ねてくれて、優しくしてくださった。酒好きな2人なので、今ごろきっと天国で大島と一緒に飲んでいると思いますよ。

 ▼岸谷五朗(映画「月はどっちに出ている」に主演)演劇しかやっていなかった私に、映画の世界からインビテーションを頂き、映画の面白さ、素晴らしさを教えてくださったのが崔監督でした。エネルギッシュで乱暴で繊細な崔組にしかない独特な撮影現場が大好きでした。まだまだ新作を撮っていただきたかった。残念です。ゆっくり天国で大好きなお酒をたくさん飲んでください。

 ▼梁石日氏(作家)崔洋一さんは私の小説「タクシー狂躁曲」や「血と骨」を映画にしてくれた。どちらも、とても面白くなって驚いた。まだお若いので、これからもっと映画を撮ってほしかった。それにしても残念だ。 

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