「鎌倉殿の13人」三谷幸喜氏 前半の作劇に手応え!主人公=義時「正解」小栗旬を絶賛「新たな代表作に」

[ 2022年7月17日 06:00 ]

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本を手掛ける三谷幸喜氏
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は17日放送の第27回から新章に突入。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝亡き後、苛烈なパワーゲームの幕が上がる。脚本の三谷幸喜氏(60)に前半の作劇を振り返ってもらった。

 <※以下、ネタバレ有>

 大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 ドラマ前半だけでも、上総広常(佐藤浩市)の「手習いと祈願書」、平宗盛(小泉孝太郎)の「腰越状」代筆、「堀川夜討」は自ら仕組んだと里(三浦透子)が源義経(菅田将暉)に告白、入水伝承がある八重は孤児(みなしご)・鶴丸(佐藤遙灯)を川から救出、日本三大仇討ちの一つ「曽我兄弟の仇討ち」(曽我事件)は「敵討ちを装った謀反ではなく、謀反を装った敵討ち」など、三谷氏が史実と創作を鮮やかに融合。“神回”“三谷マジック”“神がかる新解釈”の連続に、歴史ファンからも唸る声が相次ぐ。

 今回、三谷氏がベースにしているのは、鎌倉幕府が編纂した公式の史書「吾妻鏡」。成立は鎌倉時代末期の13世紀末から14世紀初頭とされ、治承4年(1180年)の「以仁王の乱」以降、鎌倉幕府の歴史が記されている。

 「吾妻鏡」について、三谷氏は「“今日、御家人の誰と誰がケンカした”とか、本当に細かいことまで描かれているんですよね。『吾妻鏡』が原作のつもりと言ったのは『吾妻鏡』をそのままドラマにしているというわけではなく、いつも『吾妻鏡』を手元に置いて、それだけ資料として読んでいますというニュアンスです。僕としては、もっともっと『吾妻鏡』に寄せて“この日、何があった”ということを淡々と描くだけの『鎌倉クロニクル』みたいな作品でも十分面白くなった気はするんですけど、今回そうはなりませんでした」と説明。

 「『吾妻鏡』から少し離れたシーンに関して言うならば、義経の最期は書いていて面白かったですね。(『吾妻鏡』にも自害したとあるが)今回の義経が自ら命を絶つ瞬間を、僕は絶対に見たくありませんでした」。第20回(5月22日)、北条義時(小栗)に鎌倉攻めの策を披露した後、弁慶(佳久創)の応戦ぶりを目にして心躍り、声を上げて笑う義経の姿を最後に描いた。「これも菅田さんが演じることを前提に考えた今回の義経像ですが、最期は笑っていてほしくて、あのシーンを書きました。僕のイメージしている義経の、これ以上ない幕の引き方だったんじゃないかなと思います」と手応えを示した。

 「新選組」は幕末、「真田丸」は戦国時代が舞台。今回の鎌倉時代は「史実とフィクションで言うと、ある意味、全部が神話、全部がフィクションのような気がするんですよね。戦国や幕末とは全く違う、ある意味、何でもありの世界。その分、人間が本来持つ根っこの部分をストレートに表現できるので、書いていて、とても魅力的な時代です。頼朝もそうでしたけど、あの時代の人たちは神様を身近に感じている分、夢のお告げや呪いに縛られているので、前の2作に比べて、今回は神頼みや予言的なものを多用しています。この先、ある呪いの言葉が新たな悲劇を生んだり、物語を豊かなものにしてくれる要素になりました。そんな時代にあって、実は義時が最もドライで現実的な登場人物なのかなと思います。この何でもありの混沌とした世界の中に、1人だけリアリストがいた。そんなイメージですね。やっぱり義時を主人公にしたのは正解だったなと今でも感じます」と自負した。

 その義時の変化を見事なまでに体現している小栗。三谷作品には15年の映画「ギャラクシー街道」などに出演しているが、主演としては今回が初タッグとなった。

 「ギャラクシー街道」は三谷氏がメガホンを執ったとあり「出ていただいたのはちょっとだけでしたが、小栗さんは僕と共通言語を持っている人だなと思いました。今回も、僕が脚本に込めたことを的確に受け取って演じてくださっています。これは僕の勝手な思いですけど、『鎌倉殿の13人』は小栗さんの新たな代表作になるんじゃないでしょうか」と絶賛。後半も三谷氏と小栗の“化学反応”に期待が高まる。

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