太田光 岸田首相に中継インタビューも痛恨時間切れ 石井アナ「ちゃんと総理の話聞いてました」とねぎらう

[ 2022年7月10日 23:09 ]

岸田文雄首相(左)と太田光
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 お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光(57)が10日、TBS系選挙特番「選挙の日2022私たちの明日」(後8・00)に出演。岸田文雄首相(64)に中継インタビューを行った。

 太田は、安倍元首相の銃撃事件を受けて「精神的に辛い選挙戦だっただろうと思う。ウクライナとか経済のこととか。国民の中で不安がいっぱいある中で、一国の総理としてこの国は大丈夫ですと。岸田さんに、僕にというよりは今見ていらっしゃる視聴者や国民にメッセージをお願いしたい」と述べた。

 岸田氏は「今回の衝撃的な事件は民主主義の根幹である選挙の最中に起こったということで、私たちの国の民主主義あるいは選挙、大丈夫だろうかと多くの国民の皆さんが不安に思った。これは多くの皆さんの声を聞いて強く感じました。だからこそ、こうした暴力に負けてはならない、選挙を止めてはならない、完結させなければいけないと。現職の総理大臣として最後まで選挙を完結させようと。多くの皆さんに協力していただいたことを感謝申し上げたいと思ってます」と述べ、「皆がこうした結束した思いを持てば、必ず時代は拓けていく。大丈夫だと思います」とした。

 首相が掲げる「新しい資本主義」について、太田は「大変、僕は経済にうといもんですから、あれを見てもちょっと理解ができない。前提となってるのが、戦後経済成長期があって、その後のバブル成長と、資本主義には2つの転換期があったと。これから3つ目の転換期が来る、それが新しい資本主義であるというのが前提がありますよね。実は重要なのはバブル崩壊した後の30年間、ここを低迷していたのがなぜ抜け出せなかったのかというのを、骨太の方針の柱となる前提の中に、その時代のことがすっぽり抜けてるように感じるんですが、どうですか」と質問。

 岸田氏は「おっしゃるように、その空白の30年、これをしっかり検証することから始めなければいけない。それは全くその通りだと思います。だからこそ、今、大きな転換を一つ考えなければいけない。もちろん、今までの取り組みの中で生かさなければいけない、大事にしなければいけない部分もあります。成長ということを考えますと、この30年間努力してきたというのはあると思うんですが、ただ、それが賃金にしっかりと回っていかなかった。結果としてなかなか持続可能な経済ならなかったという点をしっかり考えた場合に、賃金の引き上げと、経済の成長を一緒に考えないと経済は続かないということをこの点を強調して、新しい経済を考えていかなければならない。こうしたことを訴えさせていただいています」と述べた。

 さらに、太田は「格差が広がった一つの弊害として、新自由主義の台頭という言葉が出てきます。政府は市場から介入を最小限にして、言ってみればその市場に任せとけばすべてうまくいくという考えが一つの弊害だったという前提がありますよね。でも、僕の印象でいうと、それこそアベノミクスの金融政策であるとか、黒田さんの日銀の異次元の金融緩和はまさに政府と日銀が市場にガッツリ介入した。そんな10年だったような気がするんですよ。その中で介入したにもかかわらず成長できなかったっていうことだと、それが僕の捉え方なんですが。その前提がずれちゃうと、それを立脚点とした政策っていうのは大きくずれちゃうような気がするんですけど」とズレを指摘。

 岸田氏は「今、言った政府と日銀が協力して経済政策、マクロ経済政策を進めるというのは、大きな新自由主義という経済政策のうちの一部だと思っています。そして、今までの取り組み、成長ということについては大きな成果が上がった、日本のGDP等は大きくなった。しかし、その成長の果実が賃金等に回っていかなかった部分については少し工夫を加えないと、今のままではなかなか賃金が上がらないので。成長と合わせて分配もしっかり考えていく、そして分配っていうのは人の投資だから単にコストではなくして、次の成長に繋がる大切な投資だという考え方に基づいて分配、人への投資を考えていく。この成長と分配セットで考えることが大事だ。ここがポイントだと思います」と成長と分配の両立を強調した。

 太田は経済成長について「予定とした成長は達成したという解釈ですか。例えばインフレターゲット2%安定目標というのがありましたよね?それがコロナとかウクライナの問題いろいろある中でなかなか達成できてない。微々たる成長はしたけれども、言って見れば最初に想定していた成長はその方法ではなかったんじゃないかって解釈する人もいるんじゃないかと」と投げかけると、岸田氏は「今、おっしゃったコロナの時代は、これまた少し区別して考えなければいけないと思いますが、GDP、企業収益あるいは雇用を考えますと、アベノミクスと言われる経済成長によって成長において大きな成果が上がったこと。これは評価しなければならないと思いますね。そして、それをぜひ賃金に結びつけましょうと。そういうことを申し上げています」と述べた。

 太田はさらに「とんちんかんな質問になりますが…」と前置きした上で、「貯蓄から投資へという言葉があります。日銀はここ10年、相当投資してきたいと考えなんですよ、僕はね。日銀のお金は銀行から預けているお金ですよねそれはつまり、国民のお金なんじゃないかと、貯蓄から投資へはもう既に行われているんじゃないか気がするんですけど」と質問すると、岸田氏は「その貯蓄から投資へといっている対象がちょっと違うんだと思います。まずはさっき言ったように賃金を引き上げなきゃいけない。これがまず基本ですね。賃金によってお金の余裕ができた場合、貯蓄ではなくして、投資に振り向けることもセットで考えることが大事だと。なぜならば、20年間、定期預金ですとだいたい1%ぐらいしか金利がついていません…」と述べたところでタイムアップとなった。

 「ああ!お時間になっちゃいました…申し訳ありません」と太田は謝罪。スタジオにも「申し訳ない」と詫びた太田に、司会の石井アナは「とんでもない。太田さんも変わりましたね。ちゃんと総理の話を聞いてました。聞く力持ってました」とねぎらっていた。

 ゲスト出演した米エール大助教授で経済学者の成田悠輔氏は、岸田氏の経済政策について「岸田総理の話している前提がおかしいと思っていて、成長できていると言っても先進国中過去30年のGDP成長率最下位ですよね?ちょっとした内戦が起きている国と同じくらいの経済成長しかできていないというのがまず現状としてあると思うんですよ。まず現状認識を共有することが大事だと思います」と述べた。

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