桐山九段 74歳現役最年長棋士が引退対局に敗退、56年の現役に幕 弟子・豊島九段から花束

[ 2022年4月27日 18:05 ]

現役最後の対局を終え、弟子の豊島将之九段(左)から花束を手渡される桐山清澄九段
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 将棋の現役最年長棋士・桐山清澄九段(74)が27日、大阪・関西将棋会館で第35期竜王戦5組残留決定戦に臨み、畠山鎮八段(52)に78手で敗れた。2月の昇級者決定戦に敗れ、この日が現役最後の対局に決まっていた桐山は「無我夢中でした」と56年の棋士生活を振り返った。

 タイトル獲得は棋王1期、棋聖3期。過去9人しか達成していない通算1000勝まであと4勝(958敗)だった。そして豊島将之九段(31)らの師匠として知られた。

 昨年度、竜王と叡王2冠を藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=に奪われた豊島は3年半ぶりの無冠へ陥落。「この時期が一番大事で、どう乗り切るか。私もそうだったが、スランプを乗り越えたときに展望は開ける」。愛弟子の復活を切望した。

 対局後は弟子の矢倉規広七段(47)と豊島から労われた。矢倉は奨励会入会前から毎月、大阪府高槻市の自宅で教わった。高校を1年で中退すると20歳で四段昇段するまで月2回に増えた。

 桐山は当時トップ棋士。現在3人の弟子がいる矢倉は「自分にはできないなあ」と嘆息する。対局後、桐山に花束を手渡した豊島は「闘志を内に秘めて指される姿を見習っている」と語る。通算勝数歴代10位の原動力を「“このくらいでいいか”というのが全くない。一局一局丁寧に指された」と分析した。

 中原誠十六世名人(74)と同い年。そのタイトル通算獲得期数64は歴代3位で、67年度に残した勝率・855は藤井にも破られていない。

 キャッチフレーズ「棋界の太陽」に対して桐山は「いぶし銀」。そして桐山の獲得期数は4期。「中原さんとは東西に分かれて“好敵手”と言われた時期もあった。その後、段々離されて、勝ちたい、追いつきたい気持ちが強かった」。実績の多くでは差をつけられたが09年3月、引退した中原に対して13年長く現役で指せた。

 来年度、高槻市へ移転する関西将棋会館。高槻市の文化スポーツ振興事業団理事長として「いぶし銀」らしい息長い輝きを引退しても放ち続ける。

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2022年4月27日のニュース