知床観光船事故 「気象予報士を参考」社長の出航判断に専門家疑問「地元の感覚、経験は大切にしないと」

[ 2022年4月27日 18:07 ]

 元海上保安監で海上災害防止センターの伊藤裕康理事長が27日、日本テレビ系「news every.」(月~金曜後3・50)に生出演し、北海道・知床半島沖で起きた乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU1(カズワン)」の遭難事故で、運航会社の社長の会見での説明にコメントした。

 番組では「知床遊覧船」の桂田精一社長の会見を生中継した。当日は波が高くなる予報から、他の観光船、漁船は出航を中止。他の業者から出航をやめるよう、船長に進言があったが、最終的には出航した。桂田社長は「ウトロの波の状況、風の状況を調べましたが、1メートルいかないような、風速も2メートル、そのようなものでした。私も現場にいて見送り、車で同じ航路を走って帰りにすれ違う形でお見送りしましたが、通常通りで問題ない」と、自身で判断した経緯を説明した。

 会見で注目したポイントとして、伊藤氏は「出航の判断だと思います」とし、「もう少し丁寧に気象を分析する。他の船が途中で引き返してくるというのであれば、危ないんだと感じ取って欲しいと思いました」と指摘した。

 会見で同社長は、「その時は波風ともになかったということを調べました。これはテレビである天気予報士の方がそう言って、今回の事故に関してちらっと見まして、調べられるのかと思って調べました」と、気象予報士に頼ったことを明かした。伊藤氏は「地元の人の感覚、経験は大切にしないといけないと思いますので、そこを含めて判断をする必要があったんじゃないか。と思います」と疑問を呈した。

 24日に起きた事故では現在、11人の死亡が確認され、行方不明となった15人の捜索が続いている。

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2022年4月27日のニュース