羽生九段、藤井2冠を初撃破 十八番の「横歩取り」から誘導「この作戦でと思っていた」

[ 2020年9月23日 05:30 ]

王将戦 挑戦者決定リーグ

感想戦で対局を振り返る羽生九段(手前は藤井2冠)(撮影・吉田 剛)
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 羽生マジックさく裂だ!!将棋の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負で渡辺明王将(36)の対戦相手を決める挑戦者決定リーグ開幕局が22日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、羽生善治九段(49)が80手で藤井聡太2冠(18)に勝利した。羽生は藤井に公式戦初勝利。中盤から終盤にかけて、ファンも藤井も予期しなかったような手を繰り出し、全盛期を彷彿(ほうふつ)させる強さを見せた。

 盤上に鋭いにらみをきかせ、せめぎ合いをことごとく制圧していく――。完全復活を思わせる将棋で、31歳年下との対決を初めて制した羽生は「今までほとんどチャンスらしいチャンスがなかったので、良かったかな」と控えめにほほ笑んだ。

 過去3戦3敗(未放映対局を除く)の藤井との対決。「この作戦でと思っていた」という十八番の横歩取りに後手から誘導。過去4勝6敗とこの戦型を苦にする藤井も果敢に応じ、中盤まで五分五分の展開でもつれた。

 「ずっと際どい、ギリギリの勝負なんじゃないかと思っていた」という形勢が傾くきっかけになったのが、角ににらまれ、自陣で身動きが取れなくなっていた8筋の飛車を8四に進めることができた48手目。この大駒の不利解消をきっかけに敵陣深く4八への歩を打ち込み、金をつり上げたことで王の背後の守りを弱体化させた。そこに前述の 飛車が竜に成って攻め入る羽生マジック。その後は怒濤(どとう)の攻めで藤井の守りをあっという間に切り崩し、投了に追い込む直前の76手目△2五香では、勝利を確信した際に自然発生する独特の生理現象、右手の震えも飛び出した。

 一時の低迷がウソのような華麗なる復活。18年度まで続けていたタイトル挑戦が昨年度はまさかのゼロ。タイトル戦出場記録は30年連続で途絶え、ファンの間でも衰えを指摘する声もささやかれた。

 ただ、そんな状況でも向上心は衰えなかった。この日の藤井戦を前に「日々の対局とか棋譜を見て、参考にしたり勉強したりしている」と語るなど、姿勢はぶれない。

 験を担いだわけではないだろうが、この日対局室に現れた時のグレーのスーツ姿は3日前に丸山忠久九段を下して竜王戦の挑戦権を獲得した時と同じもの。後頭部の寝ぐせも、タイトル戦続きで身だしなみに気遣う余裕もない頃のままだった。

 勝てば前人未到のタイトル通算100期に到達する竜王戦7番勝負が10月9日に開幕する。その前に50歳の誕生日を27日に迎えるが、今回の白星は最高の前祝いになった。「まだ始まったばかりなのでこれから」。再び輝きを増す棋界のレジェンド。その第2章の始まりが、この日の1勝になったと語られる日がくるかもしれない。 (窪田 信)

 《横歩取り》互いに飛車先の歩を交換した後、先手が飛車の横利きで角道を開けた後手の歩を取る戦型。飛車角などの大駒が乱舞する激しい戦いになりやすい。

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