球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“サイン盗み騒動”泥沼か…アストロズ前GMが残り給与などめぐり球団を提訴

[ 2020年11月15日 05:30 ]

 ワールドシリーズ(WS)が終わり、大リーグ機構(MLB)の公式表彰者も出そろったが、球界はコロナウイルス感染の爆発的拡大で来季の見通しが立たない。混乱の球界を象徴するような法廷闘争が起ころうとしている。

 17年のアストロズ不法サイン盗み騒動でMLBから1シーズン職務停止を科され、ア軍から解雇されたジェフ・ルノー前GM(54)が、23年までの契約の残り給与など2200万ドル(約23億1000万円)の支払いを求め、テキサス州地裁にア軍を提訴した。処分が出た1月は監督だったアレックス・コーラ氏(レッドソックス監督)、A・J・ヒンチ氏(タイガース監督)が復帰したのに、自分には声が掛からない。ア軍では「コード・ブレーカー(暗号破り)」と呼ばれた技術部署の責任者が今も働く。ルノー氏は「サイン盗みのスケープゴート(犠牲の羊)にされた」と怒ったのだ。

 ルノー氏はコンサルティング会社から球界に転じたフロントの草分け。03年にカージナルス入り。データ分析による選手発掘でスカウト部を強化し、チームを一変させた。11年のカ軍WS制覇を置き土産に、12年ア軍に移りGMに就任した。そしてドラフト改革での下位球団優遇指名を利用して(勝とうとしない球団、と言われたが)、若手選手を蓄積、17年のWS勝利につなげた。

 ルノー氏の訴状には「MLBが調査で集めたメールに“ジェフ(ルノー氏)には知らせるな”とあるものが多いはず」。メールを書いた職員が主犯の証拠としているそうだ。泥沼裁判が思いやられる。

 ところで、球界で需要が多いのは有能なフロントか有能な監督か?結果がすぐ分かる監督に軍配が上がりそうだ。すぐ結果が欲しいファンは、有能な監督は常に人材不足と思っているはずだから。 (野次馬)

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