球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

大成功に終わった欧州開催 来年計画のナ古豪対決は渋すぎる?

[ 2019年7月7日 05:30 ]

 1週間前の6月末、ロンドンで行われた史上初のヨーロッパでの公式戦、レッドソックス―ヤンキース2連戦の大リーグ機構(MLB)の評価をのぞいておこう。「失敗はバックスクリーン周辺の椅子を白色に塗り、選手からボールが見にくい、と指摘があったぐらい。大成功」とMLBと両球団。

 通常、海外での公式戦は入場収入の少ない球団を選ぶ。赤字の補償金額を抑える予防線だが、看板カードにしたところにサッカー王国ヨーロッパでの野球市場開拓の本気度が表れた。7年前から計画した大プロジェクト、ネットメディアのおかげでレ軍、ヤ軍のライバル関係はロンドンでも浸透していた。第1戦5万9659人、第2戦5万9059人の観客は03年以後のレギュラーシーズン試合の観客動員で1位と2位を占めた。一般席のファンと一緒のヘンリー王子とメーガン妃の写真を載せた英国ゴシップ紙は「子供を連れずに野球見物!」とやっていたが、入場券の70%超が英国内で売れ、20%超が米国だった。

 米国から来たファンが英国のファンにルールを教える姿が多く見られた。「2試合で65安打、50得点の乱打戦、分かりやすかったはず」と米国の野球記者。試合時間は2試合で9時間を超えたから、長時間試合に神経質なロブ・マンフレッド・コミッショナーは気になったろう。

 もとより市場開拓の豪華版見本市、黒字になったとは思えない。しかし、MLBでは来年はナ・リーグの伝統試合、カブス―カージナルス戦にする計画だ。日本ではナ・リーグ伝統試合にドジャース―ジャイアンツ戦を挙げるが、米国の玄人は中西部の古豪対決だ。ロンドンのファンには渋すぎる気がするが…。 (野次馬)

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