球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“MLBファースト”投資惜しまぬ レ軍VSヤ軍 欧州開催

[ 2019年5月26日 05:30 ]

 レッドソックスとヤンキースのロンドンでの2連戦(6月29日、30日)まで1カ月。初のヨーロッパでの公式戦は12年のロンドン五輪メイン・スタジアムで行われる。五輪後を考え多目的競技場として建てられたが、野球は想定外だ。大リーグ機構(MLB)の競技場レンタル期間は28日間。試合に2日、後片付けに5日、残る21日間での球場づくりだ。

 レ軍とヤ軍、これまで2196試合戦ってきた伝統の試合が初めて人工芝の上で行われる。実は近年、人工芝の巻き返しが始まっている。レイズとブルージェイズだけだった人工芝球場に、今季からダイヤモンドバックスが天然芝から人工芝に変えて加わった。レンジャーズが来季から移る新球場も人工芝だ。

 「昔の人工芝は足、腰への負担が大きかった。しかし、新素材の人工芝に文句を言う選手は一人もいない」とヤ軍のアーロン・ブーン監督。1万3184平方メートルの人工芝はフランスの工場から運び込まれる。マウンドとホームベース周辺用の土はペンシルベニア州から、グラウンド整備用具と要員はウィスコンシン州から、345トンのグラウンド用の土はニューヨーク港を3月に出発、5月18日にロンドン近郊の港に到着。フェンスの緩衝材はカナダから…と大変な騒ぎ。使える資材は1年間保管し、来季予定のナ・リーグ伝統カード、カージナルス対カブス戦で再利用だ。

 あまり利益は出そうもないが、MLBの目標はヨーロッパへの野球の浸透。手始めの映像や多彩なグッズの販売に手応えあり…という。五輪への選手出場はノーだが、“MLBファースト”の商売には投資を惜しまない。(野次馬)

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