球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

今年も凍りついたままのFA市場

[ 2019年2月17日 05:30 ]

 「フリーエージェント(FA)ではない、フリーズ・エージェント=凍り付いた選手=だ」とはUSAトゥデー紙の見出し。10年総額300億円超の大型契約を目指す外野手ハーパー(ナショナルズからFA)、遊撃手マチャド(ドジャースからFA)のスーパーFA2人はもちろん、行く先が決まらず凍り付いたFAがまだ90人近くいる。

 2年続きの異常事態に現役選手たちもいら立っている。アストロズの右腕バーランダーは「この時期に多数のFAが未契約だ。これはFA制度の崩壊ではないか。球団は口を開けば“再建中”という。ハーパーもマチャドも26歳、10年契約で26歳から35歳は選手のピークだ。若手に経験豊かなFAを加えるのが“再建”だろう」。ナショナルズの右腕シャーザーは「勝とうとしない球団が多い」と吐き捨てた。

 交渉話そのものが聞こえてこないのがおかしい、と選手たち。球団間でFA排除を密約したのか。「密約でオーナーたちは大失敗している。そんなばかなことは繰り返さないはず」とフェイ・ビンセント元コミッショナー。80年代FA契約による年俸高騰に、オーナーたちは密約して86、87年とFAとの契約を控えた。選手会が調停委に提訴、不正行為と認定されオーナー側は480億円超の賠償金を払うはめになった。日本(ヤクルト=87年)に逃げたボブ・ホーナーは「損害を受けていない」と賠償金対象から外されて争い、04年に7億円を勝ち取ったのが騒動の最終決着だ。

 今度はそんな密約はなさそうだが、代理人と記者たちの間で飛び交う“怪説”がある。「再建のため3、4年間若手主体でやる、というGMが多いが、あれは自分の仕事を守るためでは…」。さて、どうだろう。 (野次馬)

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