球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ルース表彰はトランプ大統領の“隠れみの”?

[ 2018年11月25日 05:30 ]

 民間人への最高位の勲章とされる「大統領自由勲章」をエルビス・プレスリーと並んでベーブ・ルースが受賞した。トランプ大統領が選び、16日にホワイトハウスで授賞式があった。故人のプレスリー、ルースは遺族、親族が招かれた。7人の受賞者の中にトランプ氏の支持者であるカジノ王の夫人がいた。夫人は先の中間選挙でトランプ陣営に128億円もの献金をした。メディアは、夫人の受賞はその見返り、「露骨な政治的利用」とかみついた。ロックの王様プレスリーに大リーグの象徴ルース、20世紀大衆文化の超大物2人を並べたのは非難かわしでは…というのだ。

 大統領は批判は織り込み済みで、「ご主人は怒るだろうが、あなた(夫人)を最前列にするわけにはいかない」とジョークを飛ばし、ルースの功績を称えて「第2次大戦中、ルースは戦費をまかなう国債が売れるようPRして国に貢献してくれた」とお金の話のトランプ流。

 「大統領自由勲章」は63年にケネディ大統領が制定した。政財界はもちろん、芸術、スポーツ界などの分野から候補者の推薦を受け、大統領が選んで授与する。「一人で選ぶ賞の性質上、個人の好みや政治的利用になるのは避けられない」とニューヨーク・タイムズ紙。受賞者を見るとさまざまな部門の最高賞(ノーベル賞、映画のアカデミー賞など)を受賞済みの人物への「後追い叙勲」が多い。野球関係者の叙勲はルースで14人目、うち13人が殿堂に入っている。野球人を最も多く選んだ大統領はオバマ氏で5人。次はブッシュ(息子)氏の4人。スポーツ部門では野球が最多なのは、さすが「国技」だ。

 ルースには大統領にかかわる名言がある。年俸が大統領より高額と非難され、「オレは大統領よりずっといい仕事をしている」とズバリ。「史上最高の大統領」と自称するトランプ氏は、どうなる。 (野次馬)

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