球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

補強の差、経験の差いつも正しいメディアの結果論

[ 2018年10月14日 05:30 ]

 ヤンキースは地区シリーズでレッドソックスに敗れ、9年連続ワールドシリーズお預けだ。メディアは敗因分析を争った。まず、チームづくり。ヤ軍の目玉補強はトレード獲得のスタントンだが、ナ・リーグ本塁打王、MVPに目がくらみ、「ジャッジら4人も20本超の右打者がいるのにさらに右打者とは。チーム再建で高額年俸選手処理を狙ったマーリンズの策にはまった」。

 一方のレ軍は、FAで獲得したマルティネスが3冠に近い成績を残し、地区シリーズでも本塁打(第1戦、3ラン)、犠飛(第3、4戦)とフル回転。補強効果の差が際立った。

 短期決戦の鍵、継投もレ軍の勝利。ヤ軍アーロン・ブーン、レ軍アレックス・コーラの両監督は、選手引退後は解説者で豊かな野球知識を披露して注目された。ともに1年生監督の今季だが、コーラ監督は昨年アストロズのベンチコーチで貴重な経験を。A・J・ヒンチ監督がヤ軍とのリーグ優勝決定シリーズ第4戦で第1戦先発のバーランダーを救援に使った継投だ。「私は反対したが、ヒンチ監督は“ここが勝負どころ”と第5戦先発要員のバーランダーをつぎ込んだ」。1年後、コーラ監督はこれを“再現”し、第1戦先発のセールを第4戦の8回に使い、リーグ優勝決定シリーズ(相手はヒンチ監督のア軍)への道を開いた。

 ヤ軍はセベリーノ(第3戦)、サバシア(第4戦)の交代が遅れ連敗。特に16失点で投手を使い果たし最後に控え捕手ロマインを投げさせた第3戦は「悲惨というより喜劇」。「5月の捨て試合をポストシーズンで見せられた」。ヤ軍は走れず、安打数より三振が多く、投手陣も不安定…と散々だ。

 非難の矢は在職21年のブライアン・キャッシュマンGMに。「話は選手年俸削減策ばかり。ここ3年で1位の年俸順位を6位にまで下げた。目標達成ということか」。メディアの結果論はいつも正しい。 (野次馬)

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