球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

貧者の知恵「オープナー継投」POで見られるか

[ 2018年9月30日 05:30 ]

 プレーオフが始まる。メディアの興味はどのチームが今季誕生の新戦法「オープナー継投」を最初にやるかに集まる。救援(ブルペン)投手が先発し1、2回を投げ、無失点でもローテーション(先発)投手に交代、中継ぎ、抑えとつなぐ変則継投だ。

 生みの親はレイズ4年目のケビン・キャッシュ監督(40)、5月19日のエンゼルス戦から始めた。中4日の先発で投げるのは25歳の左腕ブレーク・スネルただ一人(30試合先発、21勝5敗、防御率1・95)。他の先発投手とオープナーは連投もあり登板間隔を調整し勝ち進んだ。6月下旬のヤンキースに3連勝後は次の相手チームの監督はキャッシュ監督に翌日試合の先発を電話で聞くのが決まりになった。試合が終わるまで決まらないためだ。オープナー継投の勝率は6割に迫り、「革命的戦法」と球界、メディアは絶賛した。

 レイズは選手年俸ランクも観客動員ランクも25位から最低の30位の間を行き来するチームだ。それでも「弱小」と言われないのは同じア・リーグ東地区の年俸2倍のヤ軍、年俸3倍のレッドソックスを相手に健闘する痛快さからだろう。

 「これに似た継投試合は“ブルペン・デー”と呼ばれた。しかし、私は投手の虫干しのようなこの言い方は嫌いだ。“クローザー・デー”と呼ぶのがふさわしい。投手たちは抑え投手の気構えで投げている」とキャッシュ監督。先発投手の不足。若手投手陣を育てるため経験を積ませる。今の継投は抑えの前にいい投手を持ってくる。その順序を工夫して…こうして「オープナー継投」に踏み切った。

 レイズは来季もこの継投を続けるが、問題発生。プレーオフ進出を阻まれた24日のヤ軍戦。ヤ軍は救援のホルダーを先発させ9人継投でレ軍を抑え込んだ。貧者の知恵を富豪がまねる、厳しい勝負の世界。 (野次馬)

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