球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

自賛「トランプ減税」に大リーグは絶句

[ 2018年3月25日 05:30 ]

 今月初め大統領が優勝チームをホワイトハウスに招待する恒例行事があった。トランプ大統領はアストロズへの祝福より、「史上最大の減税を実現した偉大な大統領」と成立させた新税法を自画自賛した。このトランプ減税、優遇されるのは大企業と一部の富裕層だけで富の格差は拡大…とメディアの評判はもうひとつだ。大リーグは勝ち側と思われたが、「球界への大暴投」とニューヨーク・タイムズ紙。高額年俸選手のトレードに巨額の税金が発生するためだ。

 これまでは、農家や製造業者たちのトラックや機械のような資産の交換は非課税、球界のトレードも同じ扱いだった。ところが減税の穴埋めで非課税は不動産の交換に限り、他の交換取引での利益は全て課税対象に。予想もしなかった税金の出現に大リーグ機構(MLB)法務担当理事は絶句した。「球団にどう対処するかの説明ができない」

 たとえばアストロズ。昨年8月、3人のマイナー選手と交換でタイガースからバーランダー投手を獲得、その活躍で王座に就いた。1月から施行のトランプ減税法の対象ではないが、仮にそうなったとすると、「バーランダーはアストロズに2倍以上の勝利をもたらしたと推定できる。さらに将来にわたる価値を考えると課税金額はばく大になるだろう」と統計学者。MLBは財務省に新税法のガイダンスを求めたというが、メディアの質問には省庁、MLB、球団全てがノーコメント。自賛の減税法に大リーグを揺るがす増税魔球が隠されていたのはお騒がせ大統領ならではだ。 (野次馬)

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