ドラ6阪神・富田 12球団新人一番星!“三振をしない男”宮崎斬り「楽しもうと思ってマウンドに」

[ 2023年4月2日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神6ー5DeNA ( 2023年4月1日    京セラD )

<神・D>近本(右)のサヨナラ打でプロ初勝利をゲットした富田(左)は湯浅(奥)から水をかけられる(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 抑えきれない胸中を打ち明けた。スポットライトを浴びたヒーローインタビュー。「最高でーす!」。初のお立ち台に上がった富田は喜びを爆発させた。出番は同点で迎えた延長12回に訪れた。しびれる場面でのデビューにも並外れたマウンド度胸で任された役割を遂行した。

 「まさか自分まで(出番が)回ってくると思っていなかった。12回になって、いくしかないと。あとは楽しもうと思ってマウンドに上がった」

 自らの投球スタイルを見失うことはなかった。8番手として初登板。先頭の8番・関根を4球で中飛、続く戸柱も左飛に抑えた。2死から佐野に中前打を浴びたものの、最後は宮崎に1ボール2ストライクから外角低め142キロの直球で見逃し三振に料理。昨季は全482打席で35度しか三振を喫していない。三振率・073は規定打席以上の打者では12球団最少。その最も“三振をしない男”を仕留めた快投が光った。球団では18年の高橋以来となるプロ初登板初勝利だ。

 富田の父・広之さんはトラックの運転手で、母・早苗さんは事務職として働いていた。両親は多忙を極めた。そのため特に幼少期は祖母・恵美子さんと2歳上の兄・至温さんといつも一緒だった。大垣商時代ではエースとして活躍し、関東の複数大学からも誘いはあった。だが、既に兄は大学へ進学し、家庭に経済的な余裕がなかったため、社会人チームの三菱自動車岡崎に進む決断をした。

 「絶対にプロに行って親孝行する」

 ドラ6新人は、高卒から最短でプロに行ける3年でプロ入り。入団後には社会人時代に購入した電気自動車(EV)を両親にプレゼント。そんな孝行息子は昨年入団した12球団の新人では一番乗りで勝利を挙げた。「ウイニングボールは両親にプレゼントします。自分に任された仕事は全うできるように心がけていきたい」。岡田監督にも白星をプレゼントした21歳左腕が、プロとして大きな第一歩を踏み出した。 (石崎 祥平)

 ◇富田 蓮(とみだ・れん)2001年(平13)9月6日生まれ、岐阜県出身の21歳。大垣商では甲子園出場なし。三菱自動車岡崎では22年の都市対抗に補強選手で出場。同年U―23W杯では最優秀投手賞&ベストナイン(先発投手部門)で優勝に貢献。22年ドラフト6位で阪神入団。1メートル74、78キロ。左投げ左打ち。

 ○…富田(神)がデビュー戦で今季12球団新人最速のプロ初勝利。阪神新人の初登板勝利は18年の高橋以来5年ぶり16人目。救援勝利は54年弘瀬昌彦、95年川尻哲郎に続く28年ぶり3人目だが、投球回1イニングは最短。富田はドラフト6位で阪神入団。ドラフト制以降(66年~)の達成者7人では14年の岩崎に並ぶ低い順位だ。

続きを表示

2023年4月2日のニュース