オリックス・宮城 堂々ファン投票1位で初球宴!「うれしい気持ちでいっぱい」 阪神・佐藤輝斬りへ意欲

[ 2021年6月29日 05:30 ]

ファン投票で選出されたオリックス・吉田正尚(左)と宮城大弥は笑顔でガッツポーズ (代表撮影)
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 オリックス・宮城大弥投手(19)が、地元開催となる楽天・田中将を抑える堂々の球宴初出場を決めた。球団の10代投手では18年山本以来4人目、ファン投票での選出は1954年梶本隆夫以来実に67年ぶりとなった。ここまで8勝を挙げるなどブレーク中の19歳左腕。大舞台での阪神・佐藤輝斬りで、さらなる飛躍を思い描いた。

 丸刈りの純朴な19歳は恐縮しきりだった。パ先発部門で最多23万4046票を獲得した宮城は、伏し目がちに縮こまった。第2戦は楽天生命パークで、地元開催の田中将を引き離しての球宴初出場に「本当に、よく分からないのですけど…」とボソッとつぶやいた。

 「ビックリ…、ビックリです。本当に光栄なことです。うれしい限り…、うれしい気持ちでいっぱいです」

 球団10代投手の球宴出場は野球殿堂入りした梶本隆夫(54年)、米田哲也(56年)、そして先輩の山本(18年)以来4人目。ファン投票の選出に限れば、伝説の左腕・梶本以来67年ぶりの快挙だ。

 名実ともにブレークしたと言っていい。リーグ単独トップ8勝(1敗)を挙げ、勝率第1位(・889)の“投手2冠”。防御率1・93も同僚の山本に0・03差のリーグ2位。新人王資格も残しており、球団の高卒投手では95年平井正史(投手コーチ)以来となる栄誉も視界に捉える。

 マウンドを降りても注目の的だ。御利益がありそうな見た目から、チーム内では「宮城大明神」として拝まれる。「神様、仏様、宮城様」の文言がプリントされたTシャツなどオリジナルグッズも大人気。同期は「令和の怪物」ロッテ・佐々木朗、ヤクルト・奥川らが注目を集めるが、今や宮城なしでは語れない世代かもしれない。

 ひのき舞台のイメージは06年阪神・藤川が西武・カブレラに行った予告ストレート。再現するか問われ「絶対無理です。自信ないです。三振より、良い球でゴロアウトとかフライアウトを取りたいです」と、はにかんだ。

 対戦したい打者は阪神・佐藤輝。2日の阪神戦では5回2失点で今季唯一の黒星を付けられたが、2打数無安打に封じた。「簡単にはストライクゾーンに投げられない。抑えられたら自信になると思う」。さらなる脚光を浴びるには、絶好の舞台だ。(湯澤 涼)

 ≪10代白星なら4人目≫19歳10カ月の宮城(オ)が今球宴最年少のファン投票選出。オリックス10代投手の球宴出場は18年の山本(19歳10カ月)以来。ファン投票選出では阪急時代の54年、新人の梶本隆夫(19歳2カ月)以来67年ぶり2人目になる。近年では99、00年松坂(西)07年田中(楽)15年松井裕(楽)らが10代でファン投票選出されている。なお10代投手の勝利は54年(1)戦の西村貞朗(西鉄=19歳7カ月)、62年(2)戦の尾崎行雄(東映=17歳10カ月)、66年(2)戦の池永正明(19歳11カ月)の過去3人。ファン投票選出投手は尾崎だけ。

 梶本 隆夫(かじもと・たかお)1935年(昭10)8月30日生まれ、岐阜県出身。54年に多治見工から阪急に入団。新人ながら開幕投手を務めて初勝利など、この年20勝。同年の球宴にファン投票で選出され、第1戦(西宮)で先発。3回を2安打無失点、勝敗なし。通算12度(17試合)の出場で2勝1敗だった。67年に15勝でリーグ初優勝に貢献。73年に現役引退。通算254勝255敗。20勝を4度記録もタイトルとは無縁で「無冠のエース」としても知られた。引退後は投手コーチを経て79年から2年間、阪急の監督を務めた。06年9月23日、71歳で死去。07年野球殿堂入り。現役時1メートル86、75キロ。左投げ左打ち。

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