高岡第一 「丸刈り廃止」の改革で目配りする力も養成 40年ぶりの夏の甲子園出場へ連覇狙う

[ 2021年6月29日 05:30 ]

ゲームノックに励む高岡第一の選手たち
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 第103回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は南北北海道大会でスタートを切った。2年ぶりに夏の甲子園大会へとつながる戦い。新型コロナウイルス感染拡大の影響で独自大会となった昨夏に優勝を飾るなど、負けることなく「特別な夏」を終えた各校の「2年分の夏」にかける思いに迫った。

 合言葉は「夏の大会を連覇しよう」――。昨夏に1981年以来となる夏の富山大会を制した高岡第一。昨夏もベンチ入りしていた主将の赤尾裕太捕手は「先輩たちの思いを引き継がないといけない。甲子園にかける思いはどこにも負けない」と言い切った。

 選抜出場を狙った昨秋は3回戦で富山第一に逆転負け。個々が自らの結果にこだわり意思統一を欠いたチーム力の弱さが敗戦につながった。

 16年4月に母校監督に就任し6度目の夏を迎える村本忠秀監督は、チームに変化を与えるべく、昨年末に、以前から考えていた「丸刈り」の廃止を寝癖を付けないなど条件付きで提案。「丸刈りでも寝癖は付くんですよ。毎日、鏡を見ることで細かい部分にも目配り、気配りする」。わずかな“腐敗”がチームに悪影響を及ぼすことを知るだけに、己を律することで抑止力アップを狙った。今春は決勝で夏も最大のライバルになる高岡商を破り優勝。大器と期待される1メートル90の右腕・中村来生にもメドが立つなど多くの収穫を得た。

 昨夏、2年生ながら唯一のレギュラーメンバーだった鏡内零央は「優勝後、しばらくしてから、本当なら甲子園だったのにという思いはあった」と正直な思いを吐露。ただ、初戦の2回戦・富山商戦で1点を追う9回に3年生の代打攻勢で追いつき延長10回勝利した先輩たちの勝利への執念を「一人一人が役割を遂行した結果」といい、現チームに最も必要なことと強調した。

 40年ぶりの夏の甲子園出場へ、勝負は「時の運」ではない。必然の結果としてたぐり寄せる。(吉村 貢司)

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