神戸第一 明石商破る「大金星」で目標が明確に 甲子園の道絶たれても諦めなかった先輩に成長見せる

[ 2021年6月29日 05:30 ]

奇跡の再現を狙う神戸第一・栄喜(左)と安田
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 第103回全国高校野球選手権大会(8月9日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は南北北海道大会でスタートを切った。2年ぶりに夏の甲子園大会へとつながる戦い。新型コロナウイルス感染拡大の影響で独自大会となった昨夏に優勝を飾るなど、負けることなく「特別な夏」を終えた各校の「2年分の夏」にかける思いに迫った。

 1913年に女子校として創立された神戸第一は2000年に男女共学となり現校名となった。夏の大会は翌01年から参加。14年の4回戦が最高だった昨夏に一気に躍進した。3回戦から神港学園、滝川二をともに接戦で破ると5回戦の明石商戦も延長11回タイブレークの末に5―4でサヨナラ勝ち。ともにプロに進んだ中森(現ロッテ)と来田(現オリックス)に3年間の夏の兵庫大会で唯一の黒星を付けた。

 「大金星」は聖地を明確な目標へと変えた。昨秋の兵庫大会でも敗れはしたが、その後に優勝し選抜出場した神戸国際大付に延長12回の接戦。1年から主力で昨夏も経験した2人がチームを引っ張る。中森からサヨナラ内野安打を放った三塁手の安田海武(かいむ)と遊撃手で主将の栄喜(えいき)太河は「入学した時、甲子園なんて想像もしなかった」と声をそろえるが、あの1勝で変わった。

 「先輩たちは甲子園がなくなったのに最後まで諦めないことを教えてくれた。冬に頑張れば、目指せるんじゃないかと思った」と栄喜。昨冬の練習では陸上のトラックで短中距離のインターバル走を繰り返し、チームとして下半身を徹底強化。6月中旬に今春兵庫大会3位の神戸弘陵との練習試合で3―3と互角の戦いを演じ、自分たちの力を確認した。

 92年夏の甲子園大会に神港学園の二塁手として出場した川口武次郎監督も「甲子園に行きたい気持ちがすごく強い子が多い。何とかしてあげたい」と色気を見せる。勝ってもその先を目指せなかった先輩の思いも背負い「奇跡」を再現する。(北野 将市)

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2021年6月29日のニュース