【これで聞き納め!球児会見(6)】「恩師に絶対泣くなよと言われた。自分でユニホーム脱げるわけだから」

[ 2020年11月11日 06:40 ]

阪神・藤川球児引退試合 ( 2020年11月10日    甲子園 )

<神・巨24>スピーチで大事なセリフを噛んでしまい手を合わせて謝る藤川(撮影・北條 貴史)
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 阪神・藤川球児投手(40)が10日の巨人戦で引退試合に臨み、慣れしたんだ“最終回”に登板した。今季最多2万1392人を集めた本拠地・甲子園球場で「火の玉」と称された全12球の直球勝負で2三振を奪うなど打者3人を抑え、22年間の現役最後のマウンドを終え、引退会見を行った。

 ――高知への思い、恩師の先生とか。
 「そこの人たちに恩返しするための今日だったと、実は個人的に呼んだ方にはそういう考え方です。阪神タイガースを応援してくれるファンの方々というのは、今はその気持ちはなくて、違った形でタイガースのことを助けようと思ったときに、タイガースから“球児どうしてるんだ、うちで何かやらないか”と言われることもあるかもしれないんで。次のセカンドキャリアを送っていく中で阪神タイガースのファンの方へは還元できることがあるかもしれない、これから先。だから今は、学生の時からやってきた、みんなと一緒に頑張ってきた野球の仲間に対して遠くに行ってしまったように感じていた自分ができるお礼の一番の形だったんですよね。だから明日からは、今まで通り中学校、高校の時のただの友人になれるので、めちゃくちゃうれしいですね。周りに何も気にしてもらうこともないし。まあ今会えないですけどね、コロナで。だから今まで我慢してもらった感謝なんで。ファイティングドックスのユニホームもありましたし。個人的な所ですよ、やっぱりタイガースのユニホームとかタオルとかを掲げてくれているファンの方を見ると、気持ちが変わるんですよ。だから表情というのが笑顔であったり、少し寂しそうだったりとか。自分の中でどっちつかずな所ってみんな誰しもあると思うんですけど、自分もそういう時間でしたね。やっぱり全国遠くからきてもらっている人たちに何か伝えなきゃいけないと思ったから。“地元に帰るから待ってて”って言う感じ(笑い)。恩返しはそれで十分。だけど今日しか来れないお客さん、タイガースファンの家族のみんなに対してはどうしても。伝えられたかどうかは分からないけどね。早く帰ってツイッターしないといけない(一同笑い)。今日はもう遅いから、明日かな」

 ――朝早く起きてやる野球に野望、野心は。
 「お猿9人チームを作りたい。猿9人。最近問題になってますけどね。ちょっと飛び込んだりで。かわいいやつを。なんでそんなことするんだというところを。なんかそれも…。自分がお猿がなぜ好きか色々あるんですけど、自分の長男を見てきたときに、本当に大事な時期に一緒にいてあげられなかったので、そこに対しての思いが強くて。一緒に長男と2人で猿飼って、俺はもう一度お前を育てるというふうに。自分のことに、本当にプロ野球に邁進させてもらったので、その長男に本当はこう育てたかったんだというところを。まあ結婚してくれて子どもができたらいいんですけどね。でも今は子どもたちが小さかったときに出来なかったことを、誰かにしてあげたい。それがお猿でも笑えるじゃん。それは人でも猿でも良いですけど自分が愛せるような大好きな生き物なので。朝早く起きて面白いじゃないですか(笑い)。誰もがなんとも思わない、えっ、何でそんな感情なのという方が面白い、笑える。もっととにかく視野を広げて。だけどまあペットは今問題ありますから。9は絶対無理なんで(笑い)、非現実的なことやと思って捉えていただいて。野球に関しても、チームを作って日本一にとか全くそんなのはないです。全然ない。おぼろげなかんじですけどね」

 ――息子さんとバッテリーで感慨深い。
 「そういう思いにならないようにしてました。子供が大きくなったなと思わないようにしようと。それが父親の務めかなと。父親としてまだ子供に伝えなければいけないことがあると思ってるので。そこはちょっと大人の扱いすることもあるんですけど、自分にとってはいつまでたっても子供なので。支えてやるぞという感じで捕手として構えたし、グラウンドのマウンドの近くまで寄って迎えてやろうと。まだまだ1人で歩くんやないぞと。お父さんとして教育が終わってないところが実はあるんで。もう日付を越えて自宅に帰ったらうれしいですね。何でもできるんですもんね、子供にとって。明日のことの、肩肘考えなくていいし。それが本当にうれしい。すぐ諦めるんですけどね、子供というのは。でも、うれしいですね。それぐらい形のないというかね。家族の形に答えもないし、ゴールもないし。一緒に楽しみたいですね。息子とはもうめちゃくちゃ楽しみたいです、人生を。その中で自立させて。娘もそうですけど、娘たちも頑張ってくれてるんで。あとは妻ですね。妻と一緒に。家族と友人とみんな一緒ですけど、行けなかったところに行ったり、したかったこと、ジェットコースターとか乗れなかったんで、首痛めたりするから。ちょっと乗ろうかなと思いますね。魚もさばきたいし。やりたいことだらけなんですよ。まあ乞うご期待というか。みなさんにとってそれは小さなことかもしれないですけど、そんなことすらできなかったので。大変お世話になったし、これからも野球界にはまだお世話になることはあると思うんですけど、役割は変わるので。最後グラウンドを出る時に頭を下げた時が一番実は危なかった。あの時長かったじゃないですか。長くしてる間に少し“ん?あれ、感覚が変わってきた”と思って。これで最後になる、最後だ最後だと思った瞬間にちょっとヤバいと思って。なんか不思議ですけどね。そこのゾーンに自分の気持ちが入ればすぐと感情が入ってきちゃうんで。前だけ見て進んでいって。ファンの方とかチームの後輩を引っ張っていきたいなと。みんなに引っ張ってもらうのはまだ早いと(笑い)。そう思います。ありがとうございました。伝わりましたかね? たくさん話しましたけど。涙が出なくて。自分自身勝てましたよ、僕は。絶対泣くなよって言われてたんで、恩師からは。自分でユニホームを脱げるわけだから。そうだよなと。最高に楽しかったし、幸せな時間でした。もっと幸せが見つかったらみなさんにお返しします。待っててください」

=終わり=

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2020年11月11日のニュース