【藤川球児特別手記(2)】残り30年はできる限りの恩返し 「自分らしく」探していきたい

[ 2020年11月11日 06:32 ]

阪神・藤川球児引退試合 ( 2020年11月10日    甲子園 )

【プロ野球阪神対巨人】藤川球児引退セレモニー グラウンドに一礼し引き揚げる阪神・藤川球児=甲子園球場(代表撮影)
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 実は子供のときは、「球児」という名前が嫌だったんです。野球以外にもいろいろ遊びたかったというのは本音です。しかし、今こうしている自分を考えると野球を真剣に続けてきて良かったなと心から思います。

 小学3年生から野球を始めて今年で40歳です。9歳から31年間。今は31年分のところが終わっただけです。選手の間は、周りの方々にもいろいろな心配をかけたと思います。常に「ケガはしないだろうか」とか、「打たれないかな」という思いを持ってくれていた人もいると思います。

 今日を迎えられたことで、もう心配をかけなくても済むという意味では、その方々に対する恩返しはできたのかなと少しホッとしている感情もあります。両親は当然ですが、野球を始めた小学校のときからお世話になってきた人たちへの感謝を返せるかなと思う。

 残っている恩返しというところでは、プロ入りしてから支えていただいた方や、プロ野球選手・藤川球児を知ってくれた人たちに対する恩返しです。これから自分が、どう生きていくか、野球を含めて、どう恩返しができるというところになると思います。人生100年の時代と言われていますが、自信はありません。人生70年ぐらいかなと。そう考えると残り30年で何かを頑張って、できる限りの恩返しを続けていきたいと思います。

 常に自分らしく真っすぐな道を歩きたいと思っていました。これからも「自分らしく」を探していきたいです。人生って探したまま終わるんじゃないかなと…。その答えが出ないでほしい。野球自体は答えが出ないものだったのでね。やり続けて、極めることが誰しも無理なことです。結局は野球って人生の縮図だと感じます。

 もちろん自分探しのために、これからも野球は続けますよ。野球に関していえば、プロもアマもありません。プロのピッチャーが投げたからといって、アマチュアのバッターが当たらないとは限らないです。ですから、野球がしたければ朝早く起きて、みんなと野球をします。やり方はいくらでもありますからね。引退をしても野球とおさらばするわけではないですからね。

 一緒に戦ってきた後輩へのメッセージを言葉で表すなら「挑戦」ということですね。言葉目標を高く置ける選手はアメリカまでチャレンジするべきです。やっぱり3年間は何も言わずに続けてレギュラーをはって、4年目、5年目と続けてやること、それで成績も向上させることで、超一流になります。それをモットーとしてやってもらいたいです。

 残念ながら今のタイガースにはそういう選手はいません。ただ、存在しないことを悲観するのではなく、「自分がなるんだ」という考え方をしてほしいと願います。3年やって1人前、5年やって一流、10年やって超一流。それができるまではグラウンド上で本当の覚悟を持ってやってもらいたいと思います。

 「挑戦」は自分のモットーでもあります。夢とか希望とか。この先も、そういう生き方をしていきたいと思います。それを信じて、チャレンジして、その姿をまた応援してもらって、応援してくれている人たちの糧にしてもらえればと思います。今まで本当に、ありがとうございました。(阪神タイガース 投手)

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2020年11月11日のニュース