「一つと言われると難しい」 球児が後輩左腕2人に授けたマインド、技術、スピリット

[ 2020年11月11日 05:30 ]

阪神・藤川球児引退試合 ( 2020年11月10日    甲子園 )

<神・巨24>藤川(右)とエアタッチを交わす岩貞(撮影・北條 貴史)
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 藤川の背中を追いかけ、学んできた後輩たちにとって背番号22はどんな存在だったのか。岩貞、島本の2人が、コロナ禍で開幕延期になる前の3月に思いを語っていた。

 昨季63試合に登板するなど躍進した島本にとっての幸運はずっと「隣」にいられたことだ。「昨年はロッカーも隣で、遠征先のバスでも球児さんの隣がたまたま空いていてずっと座らせてもらってたんです」。練習中や登板前後に授かった助言は数え切れない。

 疲労で左肘に不安を抱え始めたシーズン途中からは早出練習に付き合ってくれた。

 「球児さんから“明日は何時に集合な”と言ってくれて。球場に早く来て一緒にトレーニングさせてもらいました。ここが痛いですと聞けば“こういうトレーニングがあるよ”と教えてくれて」

 シーズン最終盤、顔を合わせる度に「大丈夫」と声をかけてくれた。最初で最後となった藤川と戦った19年シーズン。プロに入って初めて「戦い抜けた」1年だった。

 「ピンチの芽をつむ」。この言葉の意味を藤川によって再認識させられたのは岩貞だ。

 「今の配球ダメ、とかは誰でも言えることですけど、その先というか。結果じゃない事の発端から教えてくれる。例えばタイムリー打たれて、ここの配球が…とかは誰でもできる反省。本塁に還ってきたランナーはどうやって出したとか、その配球はこうだとか。芽からつむ、ピンチになる前の段階を考えることが多くなった」

 開幕前の先発再転向で崩れたフォームの修正に付き添ってくれたのも藤川だった。「教わったことは数知れずです…。一つと言われると難しい」。後輩たちに授けたマインド、技術、スピリットはずっと生き続ける。 (遠藤 礼)

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2020年11月11日のニュース