骨髄バンクに登録していた球児 病気と闘った故郷の友もありがとう「支えていただいて本当に感謝」

[ 2020年11月11日 05:30 ]

阪神・藤川球児引退試合 ( 2020年11月10日    甲子園 )

<阪神安芸キャンプ>骨髄移植により難病を克服した戸田浩司さん(右)と握手を交わす阪神・藤川球児投手(左)

 藤川の故郷・高知で暮らす一人の友も惜別のメッセージを本紙に届けた。「寂しいですね…」。そう静かに語ったのは戸田浩司さん(34)。土佐高の元エースで、高知大を卒業後の現在は高知市内の中学校で国語の教員、野球部の指導者として白球を追う日々を送っている。固い絆で2人は結ばれている。

 「闘病中は本当に支えていただいて、僕の活動が広まるきっかけにもなったので、本当に感謝しています」

 戸田さんが19歳の2006年、重い血液疾患を患い移植手術を受けた。高知商時代の恩師を通じて元高校球児の存在を知った藤川がドナー登録を呼び掛けたのが始まりだった。「野球というつながりだけですけど、ここまで応援してくれるんだなという喜びはありました」。闘病中には「一緒に頑張るぞ」と書かれた色紙もプレゼントされた。07年には藤川自身が骨髄バンクに登録するなど福祉活動を始めるきっかけとなった。

 「本当に友人として扱ってくれて。会う度に力強い握手と笑顔で“頑張ってるか”と言ってくれるのがうれしく思っていました。まだまだ見ておきたかった。いつまでもやってもらいたいと…。ただ最後は三振、火の玉ストレートを投げて、笑顔で引退してほしい」

 最後に会ったのは15年9月12日。引退の寂しさを感じながらも再会を期待している。藤川の支えもあり大病を克服し、今は指導者としての道を歩む戸田さんは“球児魂”を受け継ぎ「わかりました」と第2の藤川球児を育てることを約束した。 (山本 浩之)

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2020年11月11日のニュース