【西東京】国学院久我山、28年ぶり全国切符 ロッテ井口監督擁した91年以来 悲願の甲子園初勝利目指す

[ 2019年7月29日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権 西東京大会決勝   国学院久我山4―2創価 ( 2019年7月28日    神宮 )

<国学院久我山・創価>甲子園を決め抱き合う高下、宮崎のバッテリー(中央)の元にかけ寄る国学院久我山ナイン(撮影・村上 大輔)
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 第101回全国高校野球選手権(8月6日から16日間、甲子園)は28日、16大会の決勝など34試合が行われた。西東京大会決勝では国学院久我山が創価を4―2で下し、28年ぶり3度目の夏の甲子園出場。2―2の9回1死一、二塁から岡田和也外野手(3年)が決勝の中前適時打を放った。春夏通算6度目の甲子園では、OBのロッテ・井口資仁監督(44)もなし得なかった初勝利を目指す。29日は11大会の決勝を含む13大会15試合が行われる。

 No・1ポーズを掲げるナインの輪に、右翼から岡田も猛ダッシュで加わった。井口を擁した91年以来28年ぶりの甲子園。決勝打のヒーローは「28年分の重みより創価に勝ちたかった。1人で投げていた高下に応えたかった」と声を弾ませた。

 2―2の9回1死一、二塁。打席に入った岡田は3回途中、守備位置付近で拾ったガムの銀紙をズボンのポケットに入れたことを思い出した。「今日も自分のルーティンであるゴミ拾いをした。当たり前のことをできる人は神様も見てくれている」。次の瞬間、打球が中前で弾む。西東京大会6試合で犠打はわずか3。プロでも主流になった攻撃的な2番打者は通算26打数12安打で打率・462、6打点の大爆発だ。

 2本の適時打を放った4番・宮崎を含め、チーム内に浸透している「ゴミ拾い」。「僕は中1からやってますから」。中学時代に所属した市川シニアから始めた「1日1善」は年季が入っている。

 就任6年目の尾崎直輝監督も岡田を称えた。「アイツは持っている男。周りは見られるし、頼りになる」。もちろん、岡田だけではない。29歳の青年指揮官は成長したナインに優しい視線を送った。

 国学院大在学中から母校でコーチを始めた。「自分たちの現役時代は監督の顔色をうかがってばかりで弱かった。敵と戦う前に監督と戦っていた。その逆をやればいい」。自信は積み重ねによるもの。絶対負けない一つの技術を各自に磨かせつつ「野球やりたくて来たんだろ」「じゃあやろう」「やったからは勝とうぜ!」。根性論だけでは動かない現代っ子気質に訴えた。選手との間に壁は絶対つくりたくなかった。15年夏は同大会準決勝、16年夏も同8強と徐々に結果も出てきた。そして、今夏花開いた。

 甲子園出場が最終目標でないことも全員が認識している。「甲子園で勝つこと。校歌を歌うことが合言葉なんです」と岡田。井口が28年前に果たせなかった全国1勝に後輩が挑み、今夏こそ国学院久我山の歴史を塗り替える。(伊藤 幸男)

 ◆私立国学院大学久我山高等学校 1944年(昭19)岩崎学園として創立し、52年に国学院大学と合併。男子校から85年に女子部を併設。「忠君孝親」「明朗剛律」「研学練能」が教育方針。国清英明校長。OBにロッテ・井口監督、日本ハム・矢野謙次チーム統轄本部特命コーチら。ラグビー部は5度全国優勝。東京都杉並区久我山1の9の1。

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