【大阪】履正社「1球の大切さ」合言葉に初の春夏連続出場 今大会4本塁打の井上「甲子園で校歌を」

[ 2019年7月29日 17:55 ]

第101回全国高校野球選手権 大阪大会決勝   履正社7―2金光大阪 ( 2019年7月29日    シティ信金 )

<金光大阪・履正社>甲子園出場を決め、チームメイトと喜ぶ履正社・井上(右から2人目)(撮影・成瀬 徹)   
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 履正社が屈辱をバネに、まずは大阪の頂点に立った。3本塁打を含む7得点と持ち味の打力を発揮。粘る金光大阪を振り切り、3年ぶり4回目の出場を決めた。同校史上初の春夏連続出場に岡田龍生監督(58)は「春の結果が良くなかったので、もう1回、甲子園に戻ってリベンジしようと言い続けてきた」と充実の表情で流れる汗をぬぐった。

 初回に先制点を与えたが4回1死、井上広大外野手(3年)が右越えに高校通算46号の同点ソロ。「僕が打ったら、チームが勢い付く」。主砲の3試合連続、今大会4本目の本塁打が反撃の起点となった。この回、なおも1死一塁から主将の野口海音捕手(3年)が左中間に勝ち越し2ラン。4―2の7回2死からは小深田大地内野手(2年)もバックスクリーン右に本塁打を放ち、突き放した。

 忘れられない一戦がある。昨夏の北大阪大会準決勝。根尾(中日)、藤原(ロッテ)らを擁した大阪桐蔭を相手に9回2死無走者の場面まで4―3とリード。しかし、そこから悪夢の逆転負けを喫した。追い詰めたはずの大阪桐蔭は夏の甲子園大会で優勝。昨夏のメンバーから8人が残った新チームの合言葉は「1球の大切さ」になった。7―2の9回2死三塁、勝利目前の場面で野口主将はマウンドに行った。「何が起こるか分からない。しっかり落ち着いて、ここから仕切り直しだと言った」。慎重に、万全を期して最後の一つのアウトを取った。

 本塁打を放った3選手は、いずれも昨夏の大阪桐蔭戦にスタメン出場していた。井上も敗戦を糧に、成長を遂げた一人だ。冬の間に肉体改造に励み、2年夏の時点から体重は12キロアップの95キロ。追い込まれるとポイントを手前に置いて対応するスタイルだが、今までは捉えても差し込まれることが多かった。しかし体の力が付いたことで球を押し込むことが可能になった。この日の本塁打も「レフトフライかと思った」と振り返る。準々決勝から3試合連続の本塁打で、今大会4本目。3年夏の大会での本塁打数は17年ドラフト1位でロッテに入団した先輩・安田の3本を上回った。

 今春選抜大会では初戦で星稜と対戦し、奥川から3安打しか放てず、無得点で聖地を去った。野口は「優勝は目標ですが、まずは1勝」と表情を引き締め、井上は「絶対に甲子園に戻り、校歌を1回でも歌いたい」と力を込めた。まずは全国3番目の参加校数174校の頂点に立った。経験と誇りを胸に、次は全国49代表の頂点を狙う。

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2019年7月29日のニュース