NHK・Eテレの趣味番組 ありそうでなかったトランプゲーム特集

[ 2023年5月15日 09:00 ]

Eテレ「趣味どきっ!」でトランプゲームを楽しむ「GENIC」のメンバー(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】ありそうでなかったものに引かれた。NHK・Eテレ「趣味どきっ!」(月~水、後9・30)で、月曜に「駆け引き力アップ!トランプゲーム」が放送されている。

 ゴールデンタイムでのトランプ遊び。4月3日が「大富豪」、10日が「七並べ」、17日が「ページワン」、24日が「神経衰弱」、5月1日が「ダウト」、8日が「51」。大阪商業大学アミューズメント産業研究所研究員・高橋浩徳氏を講師役に、タレントの見栄晴や渡辺美奈代、ダンス&ボーカルグループ「GENIC」のメンバーらがゲームを楽んでいる。

 NHKエデュケーショナルの吉村恵美チーフ・プロデューサーは「NHKの趣味番組は1980年代から続いてきました。みなさんに趣味を持っていただき、人生を豊かに過ごしていただこうという趣旨です。『趣味どきっ!』はいろいろな趣味を提示し、みなさんに自分に合うものを見つけていただく番組なので、あえてバラバラなテーマを取り上げています」と話す。

 番組は週3回の放送で、4~5月は月曜がトランプゲーム、火曜は「スマホ」、水曜が「道草さんぽ」。過去には「カラオケ」「銭湯」「餃子」「アイドルと巡る仏像の世界」「昭和のレトロポップス」「刀剣」など、多彩なテーマを取り上げてきた。

 番組は2015年から続いているが、意外にもトランプゲームは初めて。かつてフジテレビのバラエティー番組「VS嵐」で、嵐のメンバーがゲストと「ババ抜き」を楽しむ企画があったが、近年はテレビでトランプゲームを見る機会がなくなっている。

 吉村さんは「この番組はテーマが多様なので、幅広く各制作会社さんにお声がけしています。そうした中で出てきたのがトランプゲームでした」と明かす。

 制作した「ジーズ・コーポレーション」の菊地貴大プロデューサーは「コロナ禍が終わり、私たちもようやく友だちと集まるようになりました。私は40歳代ですが、昔の友だちと集まって何をするかと言えば、やはりトランプゲームです。過去にもトランプゲームの企画が提案されたことはあったのかもしれませんが、タイミングが悪かったのかもしれません。放送するなら今だと思いました」と話す。

 吉村さんは「番組で扱う趣味としてまず考えるのは『お金をかけずに始められるもの』なので、トランプゲームはその点に合致していました。コロナ禍後にみんなが集まって楽しめるものをやりたいという考えにも即していたし、親子、家族で番組を見てもらえるという期待もありました。昔はトランプゲームは当たり前過ぎるところがありましたが、現在の若い世代には、例えば『大富豪』を知らない人もいて、トランプゲームを新鮮に感じてもらえるので、いま放送する意味もあると思いました」と話す。

 番組にはキャスティングの巧みさを感じる。若い「GENIC」のメンバーが楽しんでいるのを見ていると、混ざって遊びたい気分になってくるし、何より、「浩徳おじいちゃん」という設定の高橋氏が良い味を出している。

 菊地氏は「番組には講師役が必要なので、ネットで『トランプ』『先生』と検索して探しました。高橋さんは大学でアナログゲーム全般を研究していて、学生を相手にトランプゲームの講座を開いていたので、お声がけしたら、快諾していただきました。この番組を家族で見てほしいという思いから、出演者を家族の設定にしたかったので、高橋さんには『おじいちゃん』をお願いしました。高橋さんはゲームが大好き、エンターテインメントが大好きな方なので、乗って演じていただきました」と話す。

 ゲームのやりとりも熱い。テレビ放送やネット配信でおなじみの麻雀中継を思い起こさせる。

 菊地氏は「収録は別室の高橋さん用を含めて計12台のカメラで臨みました。台本にはルールしか書いておらず、ゲームは出演者のみなさんに自由にやってもらいました。『ダウト』の時はみなさんが面白がって何度もダウトをかけるので、終わらなくなってしまって、途中で高橋さんと相談して制限時間を10分にしました。8つのゲームを取り上げたので、1日2ゲームずつ、4日間かけて収録しました」と話す。

 吉村さんは「遊んでいる人たちの駆け引き、読み合いは、長い収録を見ていても飽きませんでした。大げさに言えば、ドキュメンタリー番組に近いです」と語る。

 15日は「セブンブリッジ」、22日は「ポーカー」。これまでの6ゲーム以上に楽しい駆け引きが繰り広げられそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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