「鎌倉殿の13人」“動かぬ鹿”こうして倒れた!巻狩り再現 雪と格闘の静岡ロケ「100カメ」大河初潜入

[ 2022年6月12日 21:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第23話の大規模な静岡ロケに“観察ドキュメンタリー”番組「100カメ」が潜入(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は12日、第23回「狩りと獲物」が放送され、富士の裾野を舞台にした「巻狩り」が描かれた。今年3月に行われた大規模な静岡ロケに、同局のドキュメンタリー番組「100カメ」(火曜後11・00、14日放送)が潜入した。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 「100カメ」は100台の固定カメラによる“観察ドキュメンタリー”。18年9月に不定期特番としてスタートし、今年4月にレギュラー化。大河ドラマ密着は番組初の試みとなった。今回は静岡ロケ現場以外に、助監督らがいるスタッフルームや技術ミーティングの様子など、ロケに向けた準備段階も明かされる。

 巻狩りとは、鹿や猪などが生息する狩場を大勢の勢子(せこ=狩猟の補助者)や追出犬によって取り囲み、徐々に獲物を巻き込んで射取る狩猟。軍事演習も兼ね、第23回は源頼朝(大泉洋)の嫡男・万寿(金子大地)の披露目の場となった。

 今回の巻狩りロケは、静岡県裾野市に10日間かけてセット(頼朝の陣)を建て込み。参加したキャスト・エキストラ・スタッフは計200人以上、動物は70頭(猪60頭、馬4頭など)。日程は3月22、23日の2日間(予備日26日)だったが、初日から雨に見舞われ、気温1・5度の寒さ。しかも雨が季節外れの雪に変わり、チーフ演出の吉田照幸監督らは午後のロケ続行を断念。2日目は早朝から除雪も、間に合わず。残るは予備日1日しかない中、巻狩のシーンはどのように撮影されたのか。“プロ中のプロ”大河スタッフ一丸の奮闘と逆襲を「100カメ」の固定カメラが一部始終、捉えていた。

 また、弓が苦手な万寿のために比企能員(佐藤二朗)らが依頼し、八田知家(市原隼人)が用意した“動かぬ鹿”。視聴者の爆笑を誘ったが、小鹿の模型は美術部と特殊メークチームが1カ月かけて製作した。“動かぬ鹿”の絶妙な倒れ方は3テイク目に大成功。吉田監督と模型の小鹿を倒す担当スタッフのやり取りが見ものだ。

 今回の「100」カメを担当したのは、16年入局の大木莉衣ディレクター。「逆転人生」などを担当し「100カメ」のディレクターは初となった。

 ロケ中の吉田監督と助監督の会話など「普通に人がカメラを回して追っていたら、たぶん撮れていないと思います。あまりカメラを意識していない状態で漏れる言葉がとても印象深かったです。いかに事前取材をして、どこに固定カメラを置くかが重要。それが通常のドキュメンタリーとは違う、この番組の面白さだと思いました」と実感した。

 100台の固定カメラの総撮影時間は、番組としては平均的な約1000時間。例えば、同じ場所を撮っている2台のカメラの映像は同時に見るなど、映像チェックに実際に1000時間はかからないものの「現場で何が起こっていたかは、編集室に入ってみないと分かりません。撮りこぼしはなくても、見逃しが一番怖いなと思いました。編集マンさんと一緒に目を皿にして頑張りましたが、個人的に大河ドラマのファンでもあるので(長時間、撮影素材を見ることは)楽しかったです」と振り返った。

 静岡ロケに行けなかった「鎌倉殿の13人」の清水拓哉チーフ・プロデューサーは「こんなに想定外の事態が発生するロケは、僕らもなかなか経験のないレベル。大木さんの驚異の“引きの強さ”ですよね(笑)。『100カメ』的にはホクホクでも(笑)、ドラマを撮り切れるかどうか、僕らは非常に冷や冷やしました。それでも『100カメ』が密着してくれたおかげで、こんなにスタッフのみんなが必死になって、無事に撮ってきてくれたことが分かって、大変、胸が熱くなりました」と感動しきりだった。

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