ゴダイゴ浅野孝已さん、約束していたライブでの再会「いつ会えるか分からないですけど、ぜひぜひ」

[ 2020年5月31日 13:00 ]

「ゴダイゴ」のギタリスト浅野孝已さん
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 【元芸能デスクの取材ノート】2006年5月4日。伝説のロックバンドが高さ約14・7メートルの廬舎那仏(るしゃなぶつ)の前で復活し、恒久的な活動再開を宣言した。

 ゴダイゴにとって約6年ぶりのステージ。14年ぶりの再結成だった99~00年は外国人メンバーのビザの関係などで限定的だったため、06年は本格的再始動となった。会場は奈良市の東大寺。大仏殿前にステージが組まれた。「モンキー・マジック」「ガンダーラ」「銀河鉄道999」「ビューティフル・ネーム」「カトマンズ」…。中国やネパールなどでも演奏してきた1970~80年代の名メロディーが天平文化の古都で復活。シルクロードに思いをはせて旅してきたメンバーたちが時空を超え、“音楽の遣唐使”となって帰ってきたような演出だった。

 開場時刻の1時間ほど前、本番用にセッティングされた舞台を歩かせてもらった。野外コンサートならではの大掛かりな音響機材がそろっており、目に止まったのがギターの数。個性的な名器が何本も並んでいた。ネックの指盤が唐草模様の「GO Ⅲ-1500」、ダブルネックの白い「BOOGIE」などは、いずれもグレコ製のPrototype(原形モデル)。今月12日に急逝したギタリスト、浅野孝已さん(享年68)らしいアイデアやこだわりが随所に見られた。

 当時は結成30年の節目。開演前の取材でメンバーたちも「この時期に東大寺で再スタートを切れた事は真に喜びであり、感謝しています」と歴史的ステージに感慨深そうだった。以降、グループは活動を続けている。

 ゴダイゴのライブは今月も組まれていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛で中止。浅野さんは今月6日放送のエフエム佐賀「水曜CHANGE」(後4・00)に電話出演し、「誰も思ってなかったですよね。こんなになるとはね」と災禍について話していた。

 優しく穏やかな人柄がそのまま顔に表れていた。誰に聴いても「怒る姿は見たことがない」と声をそろえる。甘いルックスで女性層にも人気が高く、アイドル的な支持も集めた。ギタリストとしては16歳でプロデビューしており、テクニックはもちろん、大手楽器メーカーとオリジナルモデルまで開発するなど楽器や機器への造詣も深い。

 プライベートでは全国各地のライブバーで何度も同席させてもらった。客として訪れていても、店の“箱バンド”からセッションを求められると、気さくにステージへ飛び入りする。Jポップから洋楽ロックまで、どんな選曲にもその場で対応。相手が誰だろうと、どんな曲だろうと起用に合わせ、共演者を引き立てた。席に戻ってくると、「僕、音楽学校もやっているんで」とギター奏法などについて、ていねいに解説してくれたのを思い出す。

 亡くなる6日前に放送された「水曜CHANGE」では、緊急事態宣言当時の外出自粛要請に「我慢してますよ」と語り、ステイホームの様子も紹介。「部屋を片付けたりとか、最近のはやりのUber Eatsとか(に注文したり)」と、それなりに楽しみを見つけていることを明かしていた。

 そして「みなさん、コロナにかからないように頑張ってください」と呼び掛け、「いつ会えるか分からないですけど、ぜひぜひ」とライブ会場での再会を約束していた。東大寺ライブのような復活劇をいつまでも期待してしていただけに突然の悲報には2週間以上が経った今も信じられない。 (専門委員 山崎 智彦)


 ◇山崎 智彦(やまざき・ともひこ) 1990年入社。ジャニーズ事務所やビジュアル系ロック、演歌など幅広く音楽界を取材。マドンナ、マライア・キャリーら海外スターへのインタビュー経験も豊富。文化社会部デスク、静岡支局長を経て19年から編集局デジタル編集部専門委員。

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