球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「フライボール革命」の次は「オープナー」が球界席巻?

[ 2018年12月16日 05:30 ]

 年の瀬が迫り、野球記者たちが今季最も印象に残った出来事を振り返っている。「野球の常識を覆した」として挙げられたのが、大谷翔平の二刀流とレイズの新戦法、「オープナー」だ。

 ベーブ・ルースから1世紀で登場した大谷に並ぶ二刀流は今後も簡単には出ないだろう。しかし、救援投手を先発させ、1イニングで本来の先発投手につなぐオープナーは、瞬く間に広まった。新しいセオリーの誕生だ。発案者ケビン・キャッシュ監督の来季終了の契約は24年まで延長された。

 資金不足のレ軍は力のある先発5人をそろえるのが難しい。データは、「全球団の先発投手が初回の失点が最多」と告げる。先発投手は長く投げようとペース配分を考え初回の失点が増える。救援投手は短い回を全力投球。「入れ替えてみよう。スターターではなくオープナーだ」とキャッシュ監督。5月19日のエンゼルス戦で始めた。その後、投手陣に故障者が続出、レ軍はオープナーをローテーションに組み入れた。先発投手登板試合は46勝38敗、オープナー登板で44勝34敗。球界を驚かせたレ軍の90勝だ。

 「レ軍は凄い」と金持ち球団ドジャースのスタン・カステン球団社長。「フロントも現場首脳も経歴は球界主流出身ではない。だが、彼らはデータ分析でどの球団よりも深く、広く考える集団だ」。4年前、レ軍からアンドルー・フリードマン編成本部長を引き抜きチーム改革。4年連続プレーオフ進出は「レ軍の頭脳のおかげ」。「変形シフトもそうだが、レ軍は球界のシンクタンク」とみる球界首脳もいる。

 「我々伝統的先発投手の年俸は下がるかも…」とド軍のカーショー。試合時間短縮を叫ぶロブ・マンフレッド・コミッショナーは「新戦法の論評はしない」と継投時間増に苦い顔。革命的戦法、来季一気に拡散しそうだ。 (野次馬)

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