鶴岡東・小林廉、幻惑投法で3年ぶり7度目聖地導いた 「気持ちよく打たせないように」上手と横手使い分け

[ 2022年7月26日 04:30 ]

第104回全国高校野球選手権山形大会決勝   鶴岡東3―2山形中央 ( 2022年7月25日    荘内銀行・日新製薬 )

<鶴岡東・山形中央>甲子園出場を決め抱き合って喜ぶ鶴岡東ナイン(撮影・沢田 明徳)
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 球の出どころが変われば打者は困惑する。鶴岡東のエース・小林廉(3年)は横手右腕。スライダーやチェンジアップなど変化球を低めに集め、打たせて取るのが持ち味だ。当然、打者もそこをケアする。すると突然、上手投げの本格派が力強い直球を投げ込む。まさに“幻惑投法”でチームを3年ぶり7度目の夏の聖地に導いた。

 「バッターに気持ちよく打たせないように、タイミングをずらして投げていました」

 7回途中2失点。過去4試合で34得点だった強力打線を相手に先発の役目を果たした。フォームだけでなく無走者でもクイックや長く持つなどタイミングも工夫。序盤の3回を完全投球でリズムをつくった。今夏から背番号1をつけるが「自分より凄い投手ばかりなのでダメなら代わればいい」と後先は考えない。7回途中まで全力を尽くし、救援陣にバトンを渡した。佐藤俊監督も「予想よりも良かった。代え時が分からなくなった」と目を細める内容だった。

 フォーム変更の副産物だった。元々は上手投げ。「制球が良くなかった」と2年夏に横手投げとなった。投げ込みを重ね制球力は向上。次に強い球を求めたが力が入ると腕の位置が自然と上がってしまった。それでも横手投げに取り組む中で自然と上手投げの制球力も向上。3年春には「制球もついて、球も速かったので交ぜよう」と2つのフォームを駆使することを決めた。

 5試合、計33イニングを4投手で2失点と鉄壁の投手陣で聖地に乗り込む。「甲子園でもリズムよく抑えられたら」と小林廉。大舞台でも相手を幻惑し、チームを勝利へと導く。(小野寺 大)

 ◇小林 廉(こばやし・れん)2004年(平16)6月18日生まれ、長野県佐久市出身の18歳。小1から野球を始め、浅間中では佐久リトルシニアに所属。鶴岡東では2年夏に背番号20でベンチ入りし、県大会で背番号1をつけるのは今大会が初。好きな曲は平井大の「栄光の扉」。1メートル78、75キロ。右投げ右打ち。

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