【プロ野球・球宴名場面(8)】「SHINJO」仰天の史上初ホームスチール 球界再編の暗雲晴らした

[ 2022年7月26日 16:10 ]

2004年7月11日、先制の単独ホームスチールを決める日本ハムのSHINJO(新庄)
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 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で72回目を数えるプロ野球「マイナビオールスターゲーム2022」が7月26日(福岡PayPayドーム)27日(松山・坊ちゃんスタジアム)に開催される。昭和から平成、令和…巨星たちが数多の名勝負を繰り広げてきた真夏の球宴。野球ファンの記憶に刻まれた名場面ベスト10(スポニチ選定)を紹介する。(所属、球団名、登録名、球場名は当時)

 ■2004年第2戦=7月11日

 メジャーから復帰初年度の日本ハム・新庄剛志(登録名はSHINJO)が「1番・中堅」でスタメン出場すると、痛快パフォーマンスで全国のファンを沸かせた。

 第1打席は予告ホームランのポーズからセーフティバントを試み失敗。3回の第2打席では左中間を破る二塁打を放つと三進。小笠原道大(日本ハム)の打席。6球目がボールになると捕手の矢野輝弘(阪神)から投手・福原忍(阪神)へと返球される間に、スタートを切って本塁へ頭からダイブ。球宴史上初の単独ホームスチールを決めた。

 「盛り上げるにはあれぐらいやらないとね。球宴初?初めてじゃないとやらないでしょ」たった一人で長野のスタンドを盛り上げた。

 6月、オリックスと近鉄の球団合併が表面化。球界は再編への大きな渦に巻き込まれていた。この試合の4日前の7月7日オーナー会議で西武・堤義明オーナーが“もう1つの合併”が水面下で進行していることを明かし、10球団での1リーグ制移行を強く求めた。9日には選手会長と12球団代表者による意見交換会が開かれた。選手会は1年凍結や第3者期間の設置などを提案したが経営者側に一蹴された。

 八方ふさがりの選手たちは「団結」の意思とファンの共感を得るため球宴に12色のミサンガを着用して球宴に臨んでいた。1リーグ制となればセパ対抗形式の球宴はこの試合が最後となる可能性もある。新庄の底抜けに明るいパフォーマンスはプロ野球の魅力を全国のファンに再認識させた。99年第3戦以来のMVPを獲得。落合博満(ロッテ、巨人)、清原和博(西武、巨人)に次いで史上3人目の両リーグ受賞となった。

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